【環境トピックス】溶け出す北極圏のCO2と南極圏のメタンで温暖化の悪循環を引き起こす
地球温暖化で北極圏の永久凍土や南極の氷床が融解し、何万年にもわたって閉じ込められていた二酸化炭素やメタンが放出されていると、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された2本の研究論文が警告している。
北極圏では、地球温暖化と海水による侵食で永久凍土の融解が進み、年間約2500万トン(自動車500万台分!)の炭素が大気中に放出されていることが、スウェーデン、ストックホルム大学(Stockholm University)の研究者らによって報告された。
南極氷床の下には40億トンのメタン(CO2の20倍の地球温暖化効果がある)が存在することを、英蘭米の共同チームが推計、発表した。
このメタンは微生物などが何百年にもわたって生物遺骸を分解し蓄積したもの。もし、氷床が崩壊すれば、メタンが大量に放出され、さらなる地球温暖化を引き起こす可能性を示している。
今年発表された両極での氷床などの融解だけでも以下のように報告されている。
・南極のラーセン棚氷は10年間で1790平方キロが消失(欧州宇宙機関、4月)
・グリーンランドの氷床がほぼ全域にわたり融解(宇宙航空研究開発機構8月)
・北極圏の海氷、史上最小(2007年425万平方キロ)に匹敵(米コロラド大8月)
2012年08月30日AFPほか