【巻頭言】さよなら民主党政権、自民党政権
これを書いている現時点では、民主党代表選挙、自民党総裁選挙で誰が出馬するかで大騒ぎをしている。(これを読まれる頃には決着しているだろう)
民主党は「野田氏では選挙に勝てないから、細野氏を」という動きがあったが、これ以上、民主党内の混乱を避けるため無難な道を選んだ。
自民党も同じく「谷垣氏では選挙に勝てないから、新党首には石原氏を」と動き、谷垣氏は出馬辞退。5人が出馬表明したが、石原氏が当選の公算大。
民主党の党首、自民党の総裁が誰になろうと、国民はほとんど関心が無いだろう。野田政権の継続も、自民党の政権交代も、国民は望んでいない。
この3年間を振り返れば、
民主党は責任政党たりえなかった。
野党時代は、自民党政権を攻撃するのは簡単だっただろうが、与党になったとたん無能ぶりをさらした。失敗を重ねた。
鳩山総裁はいきなり沖縄辺野古基地問題で迷走して失脚した。
菅総理は、「脱原発」にはかなりの努力と成果を上げたが、党内調整に失敗して失脚した。野田政権は見識もなく、ビジョンもなく、政権の座を守るために、自民党と談合、大連立なんでもした。
野田政権の迷走は、自民党には救いと希望を与えたが、これでまた自民党に政権交代すると思うなら、とんでもない。
国民はそれほど愚かではない。
国民は、現状を変えられない在来与党(民主、自民)にはうんざり。
「脱原発」「無駄の根絶」「国会議員の半減」「霞が関官僚の半減」などに本気で取り組む新しい政治家、新しい政党に期待している。
野田政権の功罪をまとめておこう。
原発再稼働は必要なかった
政府と関電は、「再稼働しないと、この夏が越えられない」と主張して関電の大飯原発(3号機、4号機)を強引に再稼働させたが、結果は、関西広域連合、大阪エネルギー戦略会議が主張したとおり、「再稼働は必要なかった」。
外交問題
北方領土、尖閣諸島、竹島、次々と領土問題が浮上したのも野田政権になってから。日本の政治の弱体化、政権の混乱に付け込まれたのだ。
しかし根本には、長年にわたる自民党政権の無能ぶり、先送り、先送りで解決できなかった問題が、政権の弱体化で噴出してきたことを忘れてはならない。しかし、鳩山総理のスタートから、沖縄辺野古問題での迷走ぶりには驚いた。民主党政権の外交は、すべてにおいてシロウト外交だった。
東日本大震災、復興
NHK スペシャル「シリーズ東日本大震災 追跡 復興予算19兆円」によると、復興予算19兆円は、各省庁で500を超える事業に使われた。沖縄の海岸沿いの国道の工事7億円、反捕鯨団体対策費23億円、国立競技場補修費3億円、被災地以外へ205事業2兆円を計上。ストップしていた事業が震災復興名目で復活している。
巨大公共事業
政権交代時に中止した高速道路(東京環状、名古屋環状、新名神など)、新幹線(3ルート)など公共事業が、民主党政権(野田政権)になってから、すべて動き出した。総事業費42兆円!
鳩山政権でストップした八ッ場ダム計画も野田政権で動き出した。
一方、自民党は「国家強靭化」として200兆円規模の公共工事を予定している。
公約の実現は過去最悪
赤字予算を立てない、赤字国債を発行しない、沖縄基地問題、幼稚園、保育園一本化、巨大公共事業中止、天下り禁止、公益行政法人解散、議員定数削減、食糧自給率改善など重要なものはすべて無策、公約不履行。
その一方では、原発再稼働、増税強行、TPP強行、オスプレイ配備容認、赤字予算、ばらまき予算など、国民を裏切り、失態、失策を重ねた。