環境トピックス

【環境トピックス】国連砂漠化対処条約(UNCCD)ルック・ニャカジャ事務局長の声明(抜粋)

 

極貧層の多くは、乾燥地帯に集まっています。世界のどこにも、これほどまでに生態系の崩壊の影響を受け、貧しく、人々が不安定な暮らしをしている場所はありません。多くの国では、乾燥地帯は投資や発展から長い間放置されてきました。また、開発プロセスや政治的議論の中でも軽視されてきました。

乾燥地帯では、資源の奪い合いで紛争がもっとも起こりやすく、この10年間で起きた10の残酷な紛争の内、8件は乾燥地帯で起きています。ケニヤ北部のトゥルカナ湖とチャド湖周辺では、どんどん減少していく水を巡って紛争が勃発し、争いは繰り返し続いています。私たちは、極貧の脅威を撲滅し、紛争に直面する人々を迅速に救わなければなりません。

乾燥地帯の土は脆弱な状態です。この問題は、私たちの食の保証さえ危ぶむ大変重要な問題です。世界の50%の食物がその地域で作られているのです。しかし毎年、1200万haの土地を砂漠化や干ばつで失い、その結果2000万tの穀物が育てられなくなっているのです。砂漠化は、干ばつの深刻化、単発的な洪水、砂嵐によってどんどん広がっています。

世界的に、15億もの人々が土地の荒廃によって影響を受け、その74%が貧困または極貧の状態です。生産力や水の有無は、土の質によってかわります。痩せた土しかなければ人々は貧しさと飢えに苦しみます。したがって、土を守るということは、人々の生活を守るということなのです。

この10年間、多くの先進国では平均的に4-6%GDPが上がっていますが、決して貧困を減らしたり、食の安全を保障するものではありません。なぜなら、貧しい人々の資産を蝕んで生じたものも含まれているからです。

一方で、多くのとても良い事例もあります。それらは、荒廃した土地で持続可能な形で農地を2倍、3倍にすることができると示しており、貧困と食糧不足を緩和しています。大半は知られていませんが、多くの革新が草の根レベルでおこっています。

私たちが貧困と飢餓の撲滅の目標として掲げた2015年はもうすぐです。砂漠化や干ばつの影響を受けている人々がもっと効果的に暮らしを良くし、崩れた生態系を立て直すことを可能にしなければならなりません。

その方針は、乾燥地帯の生態系のダイナミックさや複雑さを世界に認識させ、乾燥地帯の生態系が提供してくれるものの価値や、投資の機会を強調するものであるべきです。そして、国家的、国際的発展の枠組みの主流にしなければなりません。ミレニアム開発目標(MDGs)は、乾燥地帯の社会・コミュニティに多大な利益を生むことが出来るでしょう。

今こそ、乾燥地帯での生態系回復計画を拡大して、広める時です。

私たちは、この怖ろしい貧困の世界を終わらせることができるでしょうか。問題は、私たちがこの問題に対して何をしているか。自分自身が、解決の糸口になっているかということです。