巻頭言

【巻頭言】景気刺激は間違い

前月号で詳しく述べましたが、キューバは日本の100分の1の経済力で、日本が実現できていない政策を実現しています。
その政策とは、「医療費無料、教育費無料、老後は安心」という政策です。
それはどのように実現したのかと言えば、「景気刺激」でもなければ、「巨大な公共事業」でもありません。まさに国の予算を直接、国民のために使っているのです。これなら、貧富の差が生じる心配もありません。
老後の不安が無ければ安心して生活できますし、貯金をする必要もありません。老後の蓄えの必要が無ければ、お金は必要なことに使えばいいのです。
つまり、日本と正反対なのです。
 
その一方で日本は、医療費も、教育費も、老後も心配だから、お金をためなければならない。子どもが多いと生活が苦しくなるから「少子化」になる。老後が心配だから、財布のひもを締めるので、景気が下がるという悪循環。
そこで景気刺激策として、復帰した自民党政権は「巨大公共事業」を始めようとしている。しかし、お金は無い。
ただでさえ税収の2倍以上の国家予算を使っているので、毎年赤字国債を発行し、その累計が1000兆円を越えてしまっている。
しかし安倍政権は緊急経済対策として「20兆円」を追加するという。それには巨額の赤字国債を発行しなければならない。さらに今後10年間で200兆円という巨大公共事業を進めようとしている。
40年前の「高度経済成長、列島改造」と同じことをやろうとしているのだ。土建業などが喜んでいるが、50年前とは社会は大きく違っている。
巨大公共事業を必要としている地域もなければ、社会的ニーズもない。
巨額の投資をしても、潤うのは一部の業界など政、財、官だけ。
ほとんどは、あとあと国民の大きな負債(借金)となるだけ。
 
自民党が、新しい自民党を名乗るならば、同じ間違いをしてはならない。
国家予算は、巨大公共事業ではなく、直接国民のために使われなければいけないのです。