巻頭言

【巻頭言】今回の選挙の問題点

日本の国会議員の選挙は(衆議院も参議院も)、選挙区制と比例代表制の併用という変則的な選挙制度を採用しているが、この方式には大きな問題がある。今回の選挙は特にその問題が顕著に現れた。
 
★各党の得票率と議席数(率)
 
  小選挙区(300議席) 比例代表(180議席)
  得票率 議席数(率) 得票率 議席数(率)
自民党 43% 237(79 %) 28% 57(32 %)
民主党  23% 27( 9 %) 16% 30(17 %)
維新会 12% 14( 5 %) 20% 40(22 %)
共産党 8% 0( 0 %) 6% 8( 4.4%)
みんな 5% 4( 1.3%) 9% 14( 8 %)
未来党 5% 2( 0.7%) 6% 7( 3.9%)
公明党 1.5% 9( 3 %) 12% 22(12 %)
社民党 0.8% 1( 0.3%) 2.4% 1( 0.6%)
国民新 0.2% 1( 0.3%) 0.1% 0( 0 %)

 

★小選挙区

自民党は得票率43%だったが、237議席(79%)を獲得して圧勝。
民主党は得票率23%だったが、27議席(9%)しかとれず大敗。
理由は、小選挙区では一人しか選出されないため、他の候補はすべて落選する。その結果、当選者以外に投じられた票はすべて民意が生かされない。
今回は、民主党の分裂や多党乱立になったため票が分散した。
分散した票は死票となり民意が反映されなかった。
今回の死票は約3730万票、実に56%(半分以上)が死票になってしまった。これは過去最大であり、選挙制度として破たんしていると言える。
小選挙区制は「第一党が絶対に有利な選挙方式」であり、問題が大きい。
これをメインにしている国はほとんどない。
 
★得票率を正しく反映させれば
  総数 小選挙区(300議席) 比例代表(180議席)
    得票率 議席数 得票率 議席数
自民党 294⇒179 43% 237⇒129 28% 57⇒ 50
民主党  57⇒ 97 23% 27⇒ 68 16% 30⇒ 29
維新会 54⇒ 72 12% 14⇒ 35 20% 40⇒ 37
共産党 8⇒ 35 8% 0⇒ 24 6% 8⇒ 11
みんな 18⇒ 30 5% 4⇒ 14 9% 14⇒ 16
未来党 9⇒ 25 5% 2⇒ 15 6% 7⇒ 10
公明党 31⇒ 25 1.5% 9⇒  4 12% 22⇒ 21
社民党 2⇒  6 0.8% 1⇒  2 2.4% 1⇒  4
国民新 1⇒  1 0.2% 1⇒  1 0% 0⇒  0
「自民党は単独過半数!公明党と合わせて絶対安定の3分の2!」
と華々しく報道されたが、もし民意が正しく反映されていたならば、
自民党は294⇒179議席、公明党と合わせても204議席になり、衆議院480議席の半分にも届いていない。これだけ民意とかけ離れた結果が生じる選挙制度は問題だし、おそらく違憲だろう。早急に改める必要がある。
参議院選挙の選挙区制は都道府県別(47区)だが1人区が半数以上(31区)あり、同じ問題が生じる。
 
★どうすればいいか
民意を反映するには、以前のように中選挙区、大選挙区に戻して、一区での当選者を増やすか、比例代表制をメインにすればいい。
世界では比例代表制が一般的である。
 
1.選挙区を大きくし、選挙区ごとの当選者を増やす(比例代表180名なら)
①300区⇒100区にして上位3人を選出する
 ②300区⇒ 50区にして上位6人を選出する
 
2.すべて比例代表にする
 推薦政党の候補者名も併記することで議員を選べるようにする。