巻頭言

【巻頭言】安倍政権の功罪(1)

第2次安倍政権のスタート(12月26日)から3ヵ月あまり。
社会状況は大きく変わった。
 
●アベノミクス
「大胆な金融政策」「機動的な財政出動」「成長戦略」を挙げていて、
A 2%のインフレ目標
B 日銀による無制限の量的緩和
C 大規模な公共事業による需要拡大
さらに、TPP参加、原発再稼働、日米軍事同盟の強化も挙がっている。
 
★変化は始まっている
A、Bによって変化が始まった。
①株価(9,500円⇒12,000円)25%上昇
会社によって状況は異なるが、平均すると全国の会社の価値が25%上昇したことになる。時価総額で300兆円から70兆円も上昇した。
株の売買はマネーゲームだから、ゲームに参加していない人には関係ないが、株で儲けた人は、その一部は使うかもしれないが、ほとんどは貯蓄や再投資する。その結果、土地やマンション、金の価格は上昇する。
それらは物価を押し上げるが、一般市民には何のメリットもない。
 
②円安(77円⇒95円)23%上昇
輸出品は安くなるので、自動車、電気製品などの輸出額が増える。
輸入品は高くなるので、資源、エネルギー、食糧すべての価格が上昇する。
それらも物価を押し上げるが、一般市民には何のメリットもない。
 
★政府は「物価上昇2%をめざす」を目玉にしているが、以上のような物価上昇は、一般市民には何のメリットもないのだ。
 
 
巨額の公共事業
安倍総理は20兆円の公共事業を決めたが、20兆円といえば、国民1人当たり20万円近いお金がばらまかれるのだ。その使い道は「震災復興」「耐震補強」「老朽化したインフラの整備」ではなく、ほとんどが新たな工事の発注なのだ。むしろ、そこに人手と資材がとられることで、震災復興には人手不足、資材不足、資材の値上がりなどのブレーキ(マイナス効果)が問題なのだ。政府の説明は、「ばらまけば国民が潤う」ということだが、「政、財、官」が多くを取り、下請けはほとんど分配されない。誰が考えてもわかるように、お金が国民を潤すことなど起こるはずがない。
 
★安倍総理は叫んだ。そして実行した。
「政権を取り戻す! 公共事業を取り戻す!ばらまきを取り戻す!
原発を取り戻す! 談合を取り戻す!格差を取り戻す!」
 
●TPP(環太平洋 戦略的 経済連携協定)は非常に危険
 「関税ゼロ」は、輸出は有利に働き、輸入品は安くなるので、
国内の弱い産業(農業など)は大打撃を受ける。
 「規制緩和」は、米国主導のルールが国際標準となり、
日本の制度(医療、金融)が崩壊する可能性が大きい。
以上はよく知られているが、もっと大きな2つの問題がある。
 
★ISD条項
「国内法よりTPP法が優先する」
つまり、国内法では外国企業を規制できなくなる。
外国企業は、国内法で損害を受ければ、損害賠償請求できるのだ。
 
★ラチェット規定
ラチェットというのは、「一方向にしか回らない歯車のこと」
つまりTPPでは、いったん緩めた規制は元に戻せない。
例えば、牛肉の輸入規制(狂牛病対策)を緩めて被害が出ても、規制は元に戻せない。あり得ないことだが、現状はそうなっているのだ。
 
★アメリカ市民団体が暴露したTPPの真相
 http://youtu.be/HLVKAalmD48
 (重大な内容なので削除されているかもしれない)
 
「TPPの中身はオバマ大統領も知らない。米国議会も知ることができない」
「あとで参加した国は、すでに決まった内容には異議が唱えられない」など衝撃の内容だ。これは昨年参加したカナダ、メキシコにも適応され、今後参加する日本にも適応されることが確実で、非常に不利になる。
「TPPがスタートすると米国政府も異議が述べられない。今後は多国籍企業が世界を支配するだろう」と警告している。私も同感だ。
 
★映画『マトリックス』『ターミネーター』
この二つの映画は共に、巨大な多国籍企業がコンピュータを操り、人間を支配するというシナリオだが、そのプロセスは次の通り。
企業は「生産性の向上」「利益の拡大」という企業原理に従って進む。
第1段階 企業は、環境保護や人権保護の法律の網をかいくぐって拡大する。
第2段階 企業は、政治家を支配することで、法律自体を破壊して拡大する。
第3段階 企業は、国境を破壊して拡大する。(ここがTPPの重大性) 
第4段階 コンピュータは、企業家を破壊して拡大する。
第5段階 コンピュータは、人類を破壊して拡大する。
 
★SF映画はSF(空想科学小説)ではない
過去の巨大な文明はすべて滅びた。
それは、人間の欲望は徐々に徐々に小さな歩みを続け、気づいた時は手遅れ。
巨大になり強力になり、ブレーキをかけることができなかったのだ。
核兵器も、原発も、化学物質も、遺伝子組み換えも、過去の大きな失敗はすべて同じ道をたどった。IPS細胞も、DNA操作も、同じ道を行くだろう。
 
★これに対抗できるのは
企業の武器は、ネットワーク、情報操作、強力な資金、法律を支配すること。
これに対抗するためには、ネットワーク、正しい情報、市民の協力と努力。
それがネットワーク『地球村』なのだ。あなたの力を結集してほしい。