巻頭言

【巻頭言】日本 VS キューバ

「日本対キューバ」といえば、「野球? サッカー?」と思うかもしれませんが、そうではなく「国のあり方、人々の生き方」について述べようと思います。
 
●日本は変わりつつある
アベノミクスで円安と株高が続いているが、特に4月に入って総理と日銀総裁の発言「異次元の量的緩和」によって一段と過熱している。
・円安(以前は77円)⇒99円
・株高(以前は9000円)⇒1万3000円
・安倍内閣支持率⇒76%
・自民党支持率⇒46%、
(公明5.8%、民主5.2%、維新4.8%、共産3.2%、みんな2.0%)
内閣支持率、自民党支持率は株価と比例して上昇している。
これでは夏の参議院選挙は、自民党圧勝になってしまう。
そうなれば、安倍政権は必ず憲法改正に着手するだろう。
私が最も危惧するのはこの点である。
憲法の改正は、自衛隊を軍隊にすること、軍事力の増強、日米軍事同盟の強化(専守防衛、集団的自衛権などなど)。
これは何につながるのか。
この数年、近隣国との関係の悪化は顕著である。
なぜ日本を取り巻く隣国(4カ国)が変化したのだろう。
 
国の関係は、人間関係と同じ。
自分の周りが変化した時、「周りがおかしい、周りが変わった」と思いがちだが、多くの場合、自分が変わったから周りがそれに対応しただけなのだ。
日本は「相手国がおかしい、相手国が変わった」と報道しているが、相手国は「日本が変わった。日本が危険な国になった」と思っているだろう。
これは、「どちらが正しいか」という問題ではない。
このまま進むとみんなが不幸になるということなのだ。
※この原稿を書いている時、北朝鮮は「ミサイルは準備された。弾頭には標的の座標が精密に入力された。標的は傀儡政権(韓国)、アメリカ、太平洋の米軍基地(日本)である。ボタンを押せばいつでも発射できる」という声明を発表した。ふと戦争前の日本を思い出した。当時の日本は「近隣から大きな脅威を受けて、戦わざるを得ない状況に追い込まれた」と信じていた。
 
●キューバは「みんなが幸せ」
キューバは54年前、アメリカ支配から独立した。
当時33歳のカストロは、「みんなが自由と平和と平等が保障される国」をめざした。昨年、実際に行ってみて、それが本当だと感じた。
人々は月収2、3千円にも関わらず、陽気で元気で、「今に満足している! 将来に安心している!」と言う。
経済的には日本よりもはるかに貧しいが、国として必要なものは自給自足を実現し、人々の生活は保障され、医療も無料、教育も無料、老後も不安はない。実際ホームレスはゼロ。餓死もゼロなのだ。
(日本では、ホームレスは1万人以上)
キューバはさらに、「世界のどこでも大きな災害があった場合、求められればどこにでも行く」と大規模な救助隊、医療団を送りだす。
(2012年当時、66ヵ国に 1万5157人の医師を派遣中、28カ国から1万8364人の医療留学生を受け入れ中)
日本の東日本大震災にもキューバ政府は「1000人の救助隊の派遣」を申し出たが、日本政府はこれを無視した。
 
紙面が足りないのであまり多くを述べられなかったが、日本の価値観、めざす方向は困難と危険がいっぱい。キューバの価値観はそれと真逆なのだ。
私は今後も日本の進む方向への警鐘と、どうすればいいかについて述べ続けるが、その現実的な実現例として、キューバは実にわかりやすい国だ。
今年は、「キューバ講演」に力を入れたい。
ぜひ、「キューバ講演」を聞いていただきたいし、できれば講演会を企画していただきたい。 https://chikyumura.org/activity/lecture/
もしまだの方は、冊子『キューバの奇跡』を読んでいただきたい。
 http://chikyumura.or.jp/ec/