スペシャル対談

2013年10月 旅人 AKOちゃん

全国各地の無農薬栽培農家を住み込みで手伝いながら、妹のママチャリで旅する愛の紙芝居人AKOちゃん。ここ5年間は、冬は山口県、夏は青森県を目指して、南へ北へ往復する生活とのこと。旅人となって21年目を迎えるAKOちゃんに、その原点を聞きました。

 

AKOちゃんで行こう!
 
高木 こんにちは。久しぶりだね。今日はよろしく。
ところでAKOちゃん、本名はなんだっけ?
AKO 村川淳(あつし)です。
高木 ああ、それでAKOなんだね。
AKO あ、いいえ。旅を始めた頃に知り合ったおじさんから「できなくてもいいから大きな夢を持て」と言われたんです。それでいっぱい夢を持ってみたら、一番大きくて一番できないことが「謙虚」だったんです。特に相手の人のことを「この人、アホやな」と思ったときに謙虚になれないことがわかって、「そうだ。自分が一番アホになればいいんだ」と思って、「AHOって呼んでもらったらどうかな」と相談したら、「AHOはないだろ」って怒られて、AHOが凹んでAKOになったんです。
高木 なるほどねー。Hが横に凹んだら、Kになるね。
AKO それ以来、自分への戒めというか、すぐに態度がでかくなってしまうところがあるので、みんなに「AKOちゃん」と呼んでもらうようにしました。
高木 それは何年前?
AKO 18年くらい前です。
高木 僕と出会う前のこと?
AKO 高木さんを知ったのは20年くらい前です。
高木 きっかけは?
AKO その頃、サラリーマンをやっていて・・・。
高木 あははは・・・君がサラリーマンかぁ。
AKO 20人くらいの小さな会社だったのですが、バブル崩壊の後にリストラの話が聞こえてきて、新入社員の僕は全然役に立っていなかったので、自分から辞めることにしました。それから旅に出て、海外にも出かけて、環境も気になりだして、「お金や経済じゃない」という価値観に変わり始めました。
 
 
みんなの幸せのために!
 

 

高木 その辺りで、いよいよ僕と出会うわけかな?
AKO はい。実はうちのお父さんは、「男は稼いでなんぼ」の近江商人で、僕の価値観とは正反対。ちょうどその頃、「ナショナルの凄い人の講演会がある」といって、お父さんが高木さんの講演会に出かけていったんです。それで凄いショック受けてきて、買ってきたビデオ「地球は今」を僕にも見せてくれて。
僕は、そのビデオを泣きながら何回も何回も何回も何回も、ヒットを曲覚えるみたいに自分でもしゃべれるくらい見て、「これしかない」って思ったんです。
高木 そこから行動や方向性は変わった?
AKO 高木さんの言われた「みんなを幸せにすることが本当の幸せ」「思い通りにならないということが腑に落ちたら思い切って生きられる」っていう言葉がズバズバ来ました。それからは、「みんなの幸せのために」「思い切って生きること」、この方向になりふり構わず歩んでいこうと決めました。
高木 そうかぁ。それはうれしいなあ。今、君があげた2つは、『地球村』の原点なんだよ。みんなが幸せであることが真の目的で、すべての原点。みんなを幸せにすることが本当の生き方。「思い通りにならない」ということを腹に落として、思い(雑念)を切れば思い切り生きられる。人の評価は関係ないから、迷わない。20年前にAKOちゃんが、そのことを受け取ってくれたのなら、とてもうれしいよ。
 
 
紙芝居と一人デモの旅。
 
高木 そこから、どんな行動を?
AKO 自分の中で、何が一番大切なのかを探し始めました。歩いて旅をして、野宿をして、朝起きて、頭の中をいくら真っ白にしていても、「腹減った」と「何、買って食べよう」という2つのことが出てくる。じゃあ、「お金」と「食べ物」のうち、どっちが大切かと考えたら、やっぱり「食べ物」なんです。そこから有機農家さんを手伝いながら旅をするようになりました。今年で、旅を続けて21年目になります。
旅って「呼吸」だなあと思うんです。こうやって人の話を聞くことは吸うこと、伝えることが吐くこと。
高木 深い!
AKO 吐くには、わかりやすく、楽しく伝えたいと思って、8年くらい前から紙芝居を始めました。

 

高木 絵も文章も自分で?
AKO そういうのではなくて、キーワードを出してもらって、それを紙に書いて、対話しながらストーリーを作っていく紙芝居なんです。「僕もわからない。一緒に勉強しましょう」というスタンスでやっています。
高木 じゃあ、MMだね。始めたきっかけは?
AKO きくちゆみさんが「テロリストは誰?」という映画を日本語に訳されて、「これ、伝えないと。これを見て『9条は要らない』という人はいない」と思って上映会を開催したとき、テレビのニュースと映画の内容にギャップが大き過ぎて、「これは、ちょっと説明しないとわからないだろう」と思って、映画の上映前に、キーワードを紙に書いて説明したことがきっかけです。
高木 旅はどの辺りを回っているの?
AKO 最初の10年間は海外が多くて、20カ国くらい行きました。ちょっと海外に行って、アルバイトして、貯まったらまた行くというのを繰り返して。今は、アルバイトはしないと決めたので、メッセージを掲げて、「一人デモ」「いつデモ」というアクションをしながら、全国を旅しています。
高木 交通費や食費はどうしているの?
AKO なるべくお金を使わない生活をしています。去年は2万円くらいの年収でした。知り合った人に、宿と食事を提供してもらっています。
高木 渡り鳥だね。今はどんな活動がメイン?
AKO 一つは、日本とアジアの関係悪化が気になります。僕はアジアと仲良くしたいので、今、歴史を勉強しているところです。もう一つは自然エネルギー。今のままの生活を維持しながら自然エネルギーへシフトするのではなくて、順番があると思います。1番はまず脱原発。2番はエネルギーの現状を知ること。3番目に物を大切にする。それがわかれば、自然エネルギーを作らなくても持続可能だと思います。限りある地球で無限に成長する経済はありえないんです。いま経済が成長しているのは利子があるからで、その対極が利子を無くし、地域で循環する社会なのだと思います。
高木 そうだね。あとは伝え方が大事。
「こんなこと、どう思います?」「どうしたらいいと思います?」というように。『地球村』は、非対立とMMが基本だから、とにかく謙虚に、笑顔でいこうネ。
 
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