環境トピックス

【環境トピックス】いまだ世界に広がる水銀の被害

水銀の使用や輸出入を包括的に規制する国連の「水銀に関する水俣条約」が10日、熊本県で採択・署名された。水銀は国境に関係なく移動し、1カ国の規制だけでは被害防止にならないため、世界各国が協力する同意が出来た意義は大きい。しかし、世界にはいまだ水銀を使用し金精錬を行う小規模金採掘労働者が、最大1500万人いるとみられている。条約の多くは、自主的な取り組みに任せるに留まっており、貧困層に健康被害を及ぼす違法採掘問題に取り組むには、同条約では不足だと見られている。これまでの研究調査により、ごく微量の水銀でも運動や言語、記憶能力に関する発達の遅れ等、胎児や幼児に多大な影響を与えることが確認されている。研究の第一人者である南デンマーク大学のグランジャン教授は、「水銀被害の怖しさを知る日本の責任は大きい。日本には条約を超えて、小規模金採掘に水銀を使わない技術提供や、住民の水銀曝露量測定技術の支援を期待する」と述べている。

(20131020AFPほか)

本条約では水銀使用を禁止していない上に、汚染者負担の原則が盛り込まれておらず、今後多くの課題に取り組む必要がある。水銀被害による患者の苦しみを知る日本は、もっと厳しい規制を呼びかけ、子どもたちを守るために世界をリードしていかなければならない。