巻頭言

【巻頭言】信頼を失った政府

年頭にふさわしくない見出しで申し訳ないが、これを書いている現在(12月8日)の正直な気持ちです。新聞のように、「今夜書いて、あす届けられれば」、こうした時間のズレは解消できるのですが・・・今年の課題です・・・(^_^;) 

★秘密保護法
連日、新聞のトップ記事で「危険な法案」「時代錯誤」「なぜ急ぐ」「民意を聞かない政府」「議論不十分」「戦争の足音」「国民の知る権利の否定」「時代に逆行」という文字が踊った。文化人、学者、文筆家、著名人、弁護士、NPO、一般の人々が一斉に反対の声を上げた。最近では珍しいことだ。
しかし政府は、衆議院特別委員会で強行採決!⇒衆議院本会議で強行採決!⇒参議院特別委員会で強行採決!⇒参議院本会議で強行採決!
決議までの4回の検討の場すべてにおいて議論を打ち切り、強行突破した。

★民主主義に反する
採決の基本は多数決だから、他の国でも強行採決がまかり通るのかと思って調べてみたが、そうではなかった。
独裁国家では、民主的な議論や採決がないから強行採決は必要がないが、
民主国家では、世論を無視した強行採決は、国民の信頼を失うことと、多数の造反議員が出るためにまず普通ではやれない。
野党が世論に逆らって議決を遅らせた場合にだけ強行採決は有効なのだそうだ。
この点でも、日本の民主主義は未熟で、自民党は傲慢だということがわかる。
しかし日本には他にも、強行採決を生む土壌が存在する。

1. 会期中に決議できなかった法案は、原則として廃案になること。
継続審議をするには、その決議が必要だが、これは生かされていない。
2. 党議拘束が強く、強行採決をすれば多数派政党は勝てること。
以上、この2つの問題点が、自民党の横暴を許してきたのだ。
早急にこの問題を改めなければ、今後も強行採決が続く。

★安倍政権の問題点
1.「脱原発の原則は変えていない」としながらも、「再稼働」を進め、昨年末には遂に「ベース電力は原発」と方向転換を打ち出した。
これにも、一切の有識者会議も、国民への説明も問いかけもなかった。

2. 改憲の議論が9条から、96条(改憲条件)に移行し、いつのまにか、それも消えてしまったと思ったら、今後は秘密保護法が突然出現し、強行突破。
これにも、一切の有識者会議も、国民への説明も問いかけもなかった。

3. TPPについても、民主党政権時代は反対までしておいて、政権交代後は推進になり、「聖域は守る」としながらも、アメリカに押されてズルズルと土俵際。

4. 中国、韓国、ロシア、北朝鮮と、とにかく下手な外交が続いている。
安倍政権はアメリカとの関係を過信しているが、オバマ大統領は中国を重視した政策を進めている。近隣国のこれ以上の関係悪化は極めて危険。
「遠い親戚より近くの他人」のことわざ通り、近隣国との関係を重視しなければならない。

5. 武器輸出三原則の見直し
現行では、共産国や国際紛争国への武器輸出を禁じ、それ以外の国への輸出も「慎む」としているが、新基準では「柔軟に対応」できるようにする。
「日本の国益にプラスになる場合、平和貢献につながる場合は武器の輸出を認める」方向が検討されている。

★安倍政権は、どこに向かおうとしているのか
アメリカ大統領制のように、自分(内閣府)に強権を集中させようとしている。
「強い日本」「経済も軍事も存在感を大きくする」という方向を目指している。
これが「民意に逆行」「時代に逆行」「世界に逆行」していることは明らかだ。
これには、自民党の復権を許した国民に大きな責任がある。
次の選挙で同じ間違いを繰り返さないことと、今からでもインターネットで、メディアで、新聞の投書などあらゆる機会で「NO!」の意思表示をすること。