【地球は今…】人を大切にする国 コスタリカ
『地球村』平和WSツアーで、コスタリカ共和国を訪問しました。
高木代表が巻頭言に入れられなかった部分で、私がどうしても紹介したいところをまとめました。(事務局 渡辺裕文)
【環境先進国としてのコスタリカ】
●エコツアー発祥の国
コスタリカはエコツアー発祥の地と言われ、歴史的に自然保護に力を入れてきた。
豊かな生物多様性を観光やレジャー、あるいは新薬開発の原料に利用 ⇒ 国をあげて国立公園や保護区などを指定(国土の25%が保護区域)
海外からのエコツーリズムなどの観光客:年間220万人(コスタリカの人口の約半分!) ⇒ 観光収入はコスタリカの主要な外資収入源(約2割)になっています。
※各国はコスタリカの成功にならい、エコツアーが拡大!
途上国が生物多様性の保護に力を入れ始めている。
●「カーボン・ニュートラル宣言」をした国
・2030年に国全体のCO2の排出と吸収を同じにすること(カーボン・ニュートラル)を宣言
※世界でノルウェーに次いで2番目に宣言
・コスタリカの電力の91%が自然エネルギー(水力73%、地熱発電13%、風力4%、バイオマス1%、化石燃料9%) ⇒ 2021年までに自然エネルギー100%に
・エネルギーの6割が化石燃料(日本は9割!) ⇒ 自然エネルギーの活用、省エネ、エネルギー教育、効率化によって削減
・「カーボン・ニュートラル宣言」は実現可能
「政府が政策として大きく世界に向けて打ち出し、当時からメディアの報道や政府のサイトなどで、国民に知ってもらうために出来る限りのことをしてきた。
国民のほぼすべてがこの『カーボン・ニュートラル宣言』を意識し、生活を変え、省エネにも積極的に取り組んでいる!」(環境エネルギー省、エネルギー部門局副局長 ジョバンニ・カスティーロ・パチェコさん)
【民主主義の国コスタリカ】
今回のツアーは、コスタリカの大統領選挙、国会議員選挙に合わせて実施した。
大統領の任期4年で連続再選禁止。
国会議員は一院制57名、任期4年で連続再選禁止。比例代表式で候補者の4割が女性!
●選挙最高裁判所
・巻頭言にある最高裁判所とは別の機関として、選挙最高裁判所がある。
・行政、司法、立法の三権と並び、第四の権限機関と言われ、完全に独立している。 ⇒ 住民票(=投票権)の管理は選挙最高裁判所で行っている
・選挙の公示から投票まで4ヵ月!(日本の衆議院は12日だけ)
その期間の選挙に関するすべてを取り仕切る。
・大統領選挙の投票用紙は顔写真や政党の旗が入っており、わかりやすい。(右図)
・すべての人が投票できるように、海外に在住している人はもちろん、山奥や病院、刑務所の中でも投票所を作って投票してもらうようにしている。
※日本は刑務所内の受刑者に投票権がない
・選挙は国民の義務 ※日本は権利
・コスタリカの選挙最高裁判所というシステムが中米の国々に導入。(平和の輸出!)
「選挙最高裁判所の仕事は、民意をどうすくい上げるかという民主主義の仕事をしている。多様な意見があり、みんなが認め合うことで、この国を一つにまとめている。この民主主義を世界に広げていきたい」(選挙最高裁判所 ベアトリス・モラレスさん)
●選挙はお祭り!
政党ごとに集会や街宣活動が行われる。 集会の規模は数千人規模にもなる。
政党のカラーの旗やTシャツ、ステッカーで応援。
家族で(子どもも)選挙に参加。
(大人の選挙とは別に子ども選挙も行われる)
歌や踊り、寸劇などで自分たちの主張をアピールし、賛同の輪を広げる。
・投票率は7~8割。今回の投票率は、約68%(昨年の日本の参院選は52%)
【人を大切にする国コスタリカ】
●相互社会援助機構(IMAS(イマス):貧困問題対策を司る政府機関)
・総人口500万人のうち約20%が貧困層。
・年間約300億円の予算で20万世帯に援助している。
・奨学金、起業支援や職業訓練、障がい者やシングルマザーへの補助金など。
・地域コミュニティへの援助も行う(地域に学校を作る、地域での有機農業の推進など)
「有機農業をするようになって、自然と調和した生き方になりました(被援助者)」
・貧しい人にお金を与えるのではなく、仕事を与えて、誇りを持ってもらう。
⇒ 補助金に依存するのを脱し、一人ひとりが自立できるようになることが目標
●他にも、教育費は無料、医療は無料が実施されている。
【コスタリカで感じたこと】 どこで話を聞いても、「寛容」「相互理解」「透明性」が基本だとわかりました。それだけ、自分たちの住む「社会」を大切にし、「人と人との関係」を大切にし、「人」を大切にしている国なんですね。 |