地球は今

【地球は今…】人を大切にする国 コスタリカ②

1月に実施した『地球村』平和ツアーのコスタリカ報告会も各地で始まりました。
冊子『軍隊を廃止した国コスタリカ』も発売します。今回はコスタリカの医療と教育についてまとめました。

(事務局 渡辺裕文)  

●コスタリカの医療
・コスタリカでは、憲法や健康基本法で国内の全ての人に、医療を受ける権利を保障
・予防医学(病気にならないように対策をとる)が基本 ⇒ 国全体の医療費が削減される
・国公立病院で支払う医療費は無料 (治療・手術も)
 1960年代からの政策で国民皆保険制度(税金形式)が行われている。
 医療保険で医療費が払われるが、保険に入っていなくても無料で受診できる。
 その不足分は企業などからの寄付、民間の基金、たくさんのボランティアによって支えられている。
・平均寿命は先進国やキューバに並ぶほど高く、子どもの死亡率、エイズなど疾病率も低い。

左図は、各国の平均寿命(縦軸)とGDP(横軸)の関係を表している。
GDPの高い国ほど平均寿命が長く、低い国ほど平均寿命が短くなり、右上に、アメリカや日本など先進国が集まっている。
コスタリカもキューバと並び、GDPは1桁小さいが、先進国並みの平均寿命となっている。
(図中の丸囲みの中はキューバとコスタリカ、四角囲みの中が日本)

 

 

●国立こども病院で話を聞きました。
・コスタリカ国内に唯一の子ども専用の病院で、12歳以下の子どもたちはここで受診をする。
「治療が必要な子どもは全て無料。(人種・収入・国籍・合法・非合法など一切問わない)」
・医者、看護婦などが200名に対し、ボランティアは2000名!
24時間の看護が可能で、家庭の事情で看護できない母親の代わりに、ボランティアママが看護するなど、多数のボランティアによって支えられている。
・新生児は3日以内に検査を行って、将来に起きるであろう病気に対応。
⇒ 子どもを大切に考え、それが結果として医療費を減らすことにつながる。

●コスタリカの教育
・授業料は無償。教科書や制服、給食は保護者が負担する。家庭の事情がある場合には、奨学金制度で支給される ⇒ 国家予算の24%が教育に使われている。
・幼稚園1年、小学校6年、中学3年、計10年が義務教育。小学校の卒業率はほぼ100%
・教育水準は先進国並みに高い(成人の識字率は96%)。
・特徴は平和教育。
 いじめなどの問題が起きた時に、争いを平和に変えるオルタナティブな解決策を出し合う。
 仲良くなるためにはどうすればいいかということを一緒に考え、一緒に話し合う。

ある小学校4年生の子どもの話
クラスによく殴る子がいた。その子に「今のきみの手は人を殴る手だけど、その手を、人を助けるために使おうよ」と話し、仲良くなった。

・成績重視ではなく、個人の特性を伸ばすことを重視。
 公教育省が実施している様々なプログラムは「どんな状況にあっても子どもたちが学校をやめない」ことが目的。


ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が実施した中南米の国々
対象の算数、国語、理科のテストでは、キューバにつぐ教育水準。
(右図は小学校6年生の国語の成績分布。丸がコスタリカ(上)とキューバ。キューバに次ぐ成績で、最低点はキューバよりも高い)

コスタリカ憲法78条には、教育の権利として次のように書かれている。
「公立の就学前教育、一般・専門教育はこれを義務とし、国の財政により無償である。」

 

●日本の進むべき道
コスタリカは軍隊をなくし、軍事費を教育、保健、医療分野などに回したため、他の国にはない教育国家、福祉国家、環境国家として発展した。(GDPの11%が医療、8%が教育)
「平和政策」が成功し、周辺国との関係も良好、国民を大切にする政策が実現。
一方、日本は「積極的平和主義」と言いながら周辺国と緊張関係を作り出し、軍事費を増やしている。
さらにTPP参加となれば、農業の打撃、金融の打撃、保険制度の崩壊などで弱者切り捨ての政策が進む可能性大である。日本の未来を見直す時期が来ている。