スペシャル対談

2014年5月 NPO法人テンペラーレ代表 煙山享さん

福島県福島市で、引きこもりの若者たちの自立・就労支援を行うIIYO楽園(がくえん)を運営してきた煙山さんは、東日本大震災をきっかけに妻と共に淡路島へ移住。現地でもIIYO楽園を再開し、本年度からはNPO法人テンペラーレの新代表として活動を始められる予定です。

 

福島市から淡路島へ…。

高木 久しぶり。ここで会うのは2年ぶりかな。

煙山 はい、そうなります。

高木 今も淡路島に? そもそもどうして淡路島に避難することになったんでしたっけ。何かツテがあって?

煙山 いいえ、たまたま、仕事と住居を提供していただける場所が淡路島だったということなんです。人材派遣会社「パソナグループ」が被災者を対象にした臨時雇用でこちらに来ました。

高木 お子さんは2人いましたよね。今はどうしていますか。

煙山 長男はまだ福島にいて、NPOの仕事をしています。長女は大阪にいたのですが、今度淡路に来たいと言っています。

高木 じゃあ、今は奥さんと2人で活動しているんですね。主にどんな活動なのか、教えてもらえますか。

煙山 こちらに来てから、またIIYO楽園を再開して、今は5人通ってきています。洲本市の私立高校から委託を受けてひまわり畑を作ったり、淡路島のプレイパークの管理をしたり、ボランティアでゴミ拾いのクリーンアップ作戦や、里山保全活動、といったことをしています。

高木 ひまわり畑の委託というのは?

煙山 その私立高校が持っていた農地が、放ったらかしになっていたため、ゴミ捨て場のような状況で、近隣から苦情が出ていたんです。そこで洲本市が力を入れている「菜の花プロジェクト」の一環として、整備してはどうかと提案して始まったプロジェクトです。そちらの畑作業を、IIYOで請け負いました。

 

姫路の親の会と連携します。

高木 そういった活動を、預かっている子どもたちと一緒に行っているんだね。

煙山 子どもといいますか、成人もいて、最年長は38歳になります。こちらに通っていただいて、自立支援、居場所作りの活動を行ってきました。そのような流れから、姫路の親の会とつながりができて、今度一緒に新たなNPO法人を設立することになりました。「みやすの鐘」「ふくろうの会」とうちの「IIYO楽園」の3つの団体が合体して、「テンペラーレ」という名称になります。

高木 テンペラーレというのは?

煙山 テンペラ画というのがあって、絵具と混ぜ合わせるという意味なのだそうで、私たちの3つの団体が合体するという意味で、親の会の方が名付けてくださいました。そちらで、私が新代表をさせていただくことになりました。自然環境の保護、循環型社会の形成に貢献できる取り組みを通して、不登校や引きこもりの方など、生きづらさを抱えている青少年たちの自立支援を行う団体になる予定です。そのテンペラーレの、「設立記念イベントに高木先生の講演を」と私が提案して、メンバーに了承され、今回の依頼に至ったというわけです。

高木 なるほど、了解。ところで、講演では何を話せばいいでしょう。

煙山 そうですね。私は、環境保全活動をメインにした自立支援をやりたいと思って、そこで自己肯定感を持ってもらいたいと思っています。それと今、自分たちの問題で「大変だ、大変だ」になっている人たちも、地球環境の問題や日本が置かれている状況という視点から見ることで、大きな気付きがあるのではないかと思っています。そうした流れが、私ではまだ作れないので、高木先生からお話しいただきたいと期待してお招きしました。

高木 なるほど。大局を理解できれば、小さなわだかまりも飛ぶからね。講演会だけでなく、交流会でじっくり話せたらいいね。『地球村』の非対立についても話したら、もっとバッチリ伝わると思う。

煙山 よろしくお願いします。

 

IIYO楽園が新たなステージに

高木 テンペラーレの活動が始まっても、IIYO楽園は続くのかな。

煙山 事業の一つとして継続します。IIYO楽園がなくなってしまうことはありません。ひまわりエコプロジェクトをやらせていただいた私立校から、鉄筋3階建ての学生寮を借りないかという話が来ていて、それを受けようとしています。

高木 学生寮を貸したら、学生が困らないの?

煙山 その高校は、元太陽神戸銀行の独身寮だったところを買い取って学生寮にしていたのですが、2つの学生寮があるので1つに統合するそうです。空いた方の寮を、水道光熱費と固定資産税分くらいで安く貸し出してもいいと言うので、思い切って借りてみることにしました。
何しろ部屋が22もあるので、いろいろな使い方ができると思います。今、通所の人が市内にアパートを借りて暮らしているんですけれど、こっちの寮に入ってもらった方がお互いに助かるので、そういう使い方もできると思います。
また部屋数が多いので、福島からの避難、保養、移住のための基地としての使い方もできないかと考えています。

高木 来年には、老人のケアハウスを始めていたりしてね(笑)。

煙山 ケアハウスはやっていないと思いますが、実はフリースクールをやりたいと思っているんです。

高木 おお、それは意欲的だね。どういった形態で?

煙山 福島でもやっていたんですが、高校のサテライトに指定していただき、うちに通ってもらえば通学と認められる制度なんです。小中高、成人期、生きづらさを抱えた若者が、そこに来れば元気になる施設にできないかと考えています。

高木 現在、スタッフは何人位いるのかな。君の片腕といえば奥さん?

煙山 そうですね。まだスタッフが少ないのが悩みです。興味のある方はぜひご連絡ください。

高木 求人は出しているの?

煙山 それは法人として正式にスタートしてからにします。まだ「言うだけ番長」状態で、実現できていないことばかりなので、これから実現していきたいと思います。みなさん、応援ください。

高木 じゃ、6月の講演会でまた会いましょう。

 

■NPO法人テンペラーレ設立記念講演 「美しい地球を子どもたちに」
6月28日(土) 13:30~16:00 姫路市市民会館
080-4322-1140 (担当:煙山)