巻頭言

【巻頭言】筋が通らない国

日本は国としての成長期を終え、国として成熟が必要なのに、政府はいまだに経済成長を継続しようとしている。
平和を目指さないといけないのに、隣国との関係を悪化させている。
自立を目指さないといけないのに、アメリカへの依存を強めている。
安全を目指さないといけないのに、危険な方向に突っ走っている。
食糧自給や自立経済を目指さないといけないのに、TPPを進めようとしている。
その極め付けが、これだ。

★「原発回帰」を閣議決定!!
4月11日、安倍政権は「重要なベースロード電源」(常に一定の出力で運転を行う電源)」とするエネルギー基本計画を閣議決定した。これは「原発回帰」を意味する。これを国会の議論なしに決定したのだ。原子力規制委員会の規制基準に適合した原発は再稼働を進めるほか、「新設、増設」にも含みも持たせた。さらに、40年間膨大な予算を浪費し世界で最も危険な高速増殖炉「もんじゅ」を延命し、核燃料サイクル政策を推進することも明記した。

★許されないこと
原発事故が終息していない現状、廃炉の工程も不明確な現状、被災者の救済もできていない現状、全国の原発の安全が確保できていない現状、事故が起こった際の避難ルートも確保できない現状で、こんな閣議決定はありえない。
これほど重要な問題が国会の議論なしに閣議決定することは許されない。
政府が行ったパブリックコメントでも、メディアが行ったアンケートでも国民の過半数は「脱原発」だ。国民の意志に反する決定をするなら、民主主義ではない。

★まやかし、ごまかし
エネルギー基本計画には、「原発は可能な限り低減する」という文言があるが、これに沿った記述、目標数値は一切ない。この発表のとき、菅官房長官は、「被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い・・・」などの言葉を並べたが、福島の人たちは神経を逆なでされる思いだっただろう。
国民の大部分も同じように感じたはずだ。

★積極的平和主義?!
聞く者の神経を逆なでするのは、この「積極的平和主義」だろう。
前回の安倍政権(2006年)は「美しい国日本」と謳って、防衛庁を防衛省に格上げ、教育基本法、イラク特措法、憲法改正手続きなど国家主義、右傾化を進めた。今回は「積極的平和主義」と謳って、軍事力の強化、近隣国との緊張の増大、アメリカへの追随など国家主義、軍国主義を推進している。
看板とは正反対の政策を進める安倍総理の手法は、いかがなものか。

★集団的自衛権?!
集団的自衛権とは、同盟国(アメリカ)が攻撃されれば日本が反撃できるということであり、自衛隊はアメリカ軍と同じとみなされ、アメリカの敵国にとって攻撃対象になる。これは憲法をどう解釈しようが容認できるものではない。
それをいま一総理が強引にやろうとしている。あまりに筋が通らないではないか。

★武器輸出の見直し
日本は1967年に決めた「武器輸出三原則」によって、武器輸出を禁じ、実質的にはアメリカにだけ認めてきた。今回それを大きく変えた。
「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。これは、国際条約に違反しない場合、国連安保理の取り決めに違反しない場合、紛争国でない場合、全てOKとなる。総理の「解釈」という「勝手」がまかり通る現在の政権では、歯止めは効かない。

★誰のための政治か
安倍総理は「私が最高責任者だ」と発言するなど、民主主義を理解できていない。総理は、主義の基本から学びなおさなければならないのではないだろうか。
民主主義とは、国民が主権者であり、政府は国民から負託を受けて、国民の意志に従って政治を行うものだ。国民の意志に反する政治は許されない。