巻頭言

【巻頭言】星々の話

 「数ヵ月以内にベテルギウスが爆発、二つの太陽が地球を照らす」
 こんな話が、いまネット上で話題になっているよ。
 こういう話題は自分で調べた方が面白いけど、今回は私の方でまとめますね。
 
★オリオン座
 冬の星座として、三ツ星で有名なオリオン座。
 ところで、星座は、昔の人が肉眼で見えた星を線でつないだだけで、その星は同じ距離ではない。オリオン座の7つの星は、最も近い星は17光年、最も遠い星は1500光年。100倍も距離が違う星を一つの絵にしただけ。知ってた?
 
★ベテルギウス
 オリオン座の左上の明るい星がベテルギウス。
 距離は642光年。星としては割りと近い方だ。大きさは太陽の1000倍で、私たちの太陽の位置にあったなら木星まで飲み込む大きさだ。
 なぜそれほど巨大なのかといえば、星は最終段階では核融合が進み、高温になり膨張する場合があり、それを赤色巨星といい、この状態に入ると大きく膨らませた風船と同じで、いつ爆発するかわからない。
 
★新星(超新星)爆発
 その爆発のことを超新星爆発という。
 夜空に突然明るく輝くので、昔は「星が生まれた」と考えて「新星」と名が付いたが、これは星の誕生ではなく星の最期なのだ。特に明るい新星を超新星という。
 記録に残っている最も明るいものは1006年のおおかみ座の超新星(-9等星)、1054年おうし座の超新星(-6等星)で、はじめの数十日はどんどん明るくなり、太陽10億個分のエネルギーを放出し、その後数ヵ月かけて見えなくなる。
 これらの超新星は7000光年の遠方だったが、もし距離が近い(5~10光年)なら、太陽以上に明るく輝き、太陽以上のガンマー線が地球を襲い、生物は全滅するだろう。
★ベテルギウスの爆発は壮大なパノラマ
 ベテルギウスは赤色巨星だから、いつ爆発するかわからないが、距離は642光年だから、太陽以上に輝くこともないし、地球を滅ぼすこともない。
 明るさは計算上-9等星になるから、夜空の大パノラマだ。
 満月(-12等星)より暗いが、夜空で最も明るい星シリウス(-1等星)より 1000倍以上明るいから、見られたらラッキー!(@_@;)
 距離が642光年だから、見れた時よりも642年前に星が爆発したことになる。
 
★私たちの太陽も
 私たちの太陽は、生まれて46億年、寿命は100億年。
 新星爆発するには太陽の8倍以上の質量(重量)が必要だから、太陽は晩年高温になり膨張するが(水星、金星、地球は飲み込む)、爆発せずに静かに終焉を迎えるようだ。地球は太陽に飲み込まれる前に、水分も大気もなくなり、砂漠の星、死の惑星になるだろう。しかし、それすら数十億年先のことであり心配には及ばない。むしろ人類は、いまのような愚かなことを続ける限り、とっくに自滅、自爆、絶滅しているだろう。
 
★宇宙とは
 私たちの太陽は銀河星団の一つの恒星だが、銀河星団には2000億個の恒星があり、そのほとんどは太陽系のように多くの惑星がある。
 この宇宙にはこのような巨大な星団や星雲が、2000億個くらい存在すると考えられている。アンドロメダ星雲もマゼラン星雲も、私たちと同じような巨大な銀河星団なのだ。宇宙には、太陽なような恒星は2000億個×2000億個あり、恒星は10~100個の惑星を引き連れているから、宇宙には10の25乗の惑星があるのだ。
 よく「地球以外に生物がいるか」と聞かれるが、「いない」とは言えない。むしろ、「生物はいるだろう」と考える方が自然だろう。
 「人間以上の知的生物はいるか」というなら、「いるだろう」と考える方が自然だろう。むしろ人間並みに中途半端な知的生物はすぐに滅びるだろう。
 「交信できるか」というなら、「可能性はゼロではない」と考える方が自然だろう。
 
★とても大切なこと
 宇宙が始まった時、宇宙にはほとんど水素しか存在しなかった。水素によって星(恒星)が作られ、核融合によってヘリウムより重い元素が作られ、恒星が爆発をすることで重い元素が宇宙にばらまかれた。星の誕生と爆発の繰り返しで、宇宙には重い元素が徐々に増え続けた。
 現在の宇宙論(ビッグバン説)では、宇宙の始まりは138億年前。
 太陽系は46億年前(宇宙誕生から92億年)に生まれたので、太陽も地球も、宇宙誕生から92億年間に爆発した恒星によって作られた元素が原料なのだ。
 元素は基本的には変化しないから、土も植物も、それを食べる草食動物も、それを食べる肉食動物も、人間も同じ元素で作られている。
 例えるならば、形は違うが原料は同じ粘土なのだ。そして、その粘土はすべて過去の星によって作られ、星の爆発で宇宙にばらまかれたものなのだ。
 私たちの身体(筋肉、骨、脂肪、血液、体液)は水分、タンパク質、炭水化物、脂肪とミネラルで、その元素は29種類。
 水素60.3%、酸素25.5%、炭素10.5%、窒素2.4%。
 この4元素で98.7%を占め、残り25元素は合計しても1.3%しかない。
 そのうちでナトリウム0.7%、カルシウム0.2%、リン0.1%、イオウ0.1%、カリウム0.04%、塩素0.03%、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素などはもっと微量だが、それが無ければ、すべての生命体は存在できなかったのだ。
 すべての生命を支える25の元素は、星の爆発で宇宙にばらまかれたものだということは衝撃的ではないだろうか。
 星の誕生や星の死は遠い宇宙のできごとで、私たちには何の関係もないと思っていたかもしれないが、このこと無しには、私たちもすべての生命体も存在しなかったのである。さらに衝撃的なことは、宇宙のすべての星も生命も、同じ起源をもつということではないだろうか。
 
私たちは星から生まれた「星の子供」であり、「星の家族」なのだ。
争ったり、戦争したり、地球を破壊したりする存在であってはならないのだ。
私も宇宙への関心は高いが、それ以上に私は、人類が滅びないこと、社会が平和になること、一人ひとりが幸せになることの方がはるかに重要で、はるかに大切なことだと思う。