巻頭言

【巻頭言】政府は重大な過ちを犯した

7月1日、安倍総理は「集団的自衛権」の行使容認を「閣議決定」した。
これまで反対してきた公明党が腰砕けになって同調したためだ。
連立与党内の争いは、憲法遵守の理念もなく国民不在、保身に終わった。
日本にとって重大問題「集団的自衛権」のポイントと、今後についてまとめた。
 
★これまでの憲法の解釈
憲法9条は、「戦力の非保持」、「戦争の放棄」、「交戦権の否認」を規定している。
この規定では、文字通り、自衛隊も認められない。しかし、国際法では、「自衛は国家の基本的権利」と認めていることを根拠に、1972年、政府は「日本にも自衛権があり、自衛隊は自衛のために認められる」とした「憲法解釈」を発表、国会もそれを承認した。以来、この「解釈」がベースとなり、アメリカの要請でアメリカの戦争に参加することは無かった。しかし、国連の要請によりPKO(国連平和維持軍)への参加、アメリカの要請により後方支援(物資の輸送)に参加することがあった。これもまた、政府は「戦争への参加ではない」などとの「解釈」で、国民や野党の大きな反対に対して、「イラク特別措置法」などの強行採決で突破してきた。その裏には常にアメリカ政府の強い要請があった。
つまり政府は常に、憲法よりも、国民の平和の願いよりも、アメリカ政策を優先してきたのだ。毎回政府は「戦争には参加しない」、「平和のため」、「後方支援だけ」などの曖昧な説明と、毎回国民の「戦争に参加しないのならば」、「平和のためならば」、「後方支援だけならば」という曖昧な理解で乗り切ってきた。
 
★今回は明白な憲法違反
これまでの憲法解釈は、「我が国が攻撃されたなら、自衛のために武力行使をする」ということであり、これは国際的にも、常識的にも理解できることだが、
「集団的自衛権」は、「我が国と密接な関係にある国(アメリカ)が攻撃されたなら、武力行使をする」ということで、明らかに「自衛」ではない。
これはどんな解釈をしても許されるものではない。それは常識的にも、誰の目にも明らかである。こんなことを一総理がやったことはまさに驚きである。
★全国で「憲法違反」の訴訟ラッシュ
三重県松阪市の市長が「これは憲法違反である。違憲訴訟をする」と宣言したことを皮切りに、元三重県職員が初提訴、イラク派兵訴訟弁護団が訴訟視野など、続々と全国で「違憲訴訟」の提訴が始まった。おそらく過去最大の違憲訴訟になるだろう。
 
★悲観の必要なし、楽観も禁物
「閣議決定されてしまった! 日本はもうダメだ! 」とがっかりする声をよく聞く。しかし、これは間違い。日本はまだ、何も変わっていない。
なぜなら、「閣議決定」は「政府が方針を決めただけ」であり、実効力は無いからだ。実効力を持つには、政府は関連法案を作り、それを国会で議論し成立させないといけないのだ。
 
★閣議決定後から実現まで
政府は、「関連法案作成チーム」を設置した。委員は30名。
関連法案を作成するには半年くらいかかる。
それを国会に提出して、まず衆議院で討議し採決する。
仮に、衆議院で成立すると、参議院で討議し採決する。
仮に参議院で成立すると、法律として成立し、実効力を持つ。
この時点で、日本は大きく変わる。日本は戦争のできる国になり、アメリカから要求されると、国会で審議はするが、与党が過半数を有するなら強行採決で突破することができて、自衛隊を派遣し、アメリカと共に戦うことになるだろう。
安倍総理は「日本がアメリカと共に戦うことは断じてない」と言っているが、もし本当にそうならば「集団的自衛権」を強行する必要はないのだ。
安倍総理の説明は、常にウソとごまかしがあり、全く信用できない。
 
私が政治に関心を持ったのは学生時代で、総理大臣は、岸信介、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄から現在まで27人だが、その中で最も平和主義と民主主義からかけ離れた総理が安倍晋三だ。
 
★ではどうすればいいのか
 「集団的自衛権」の「行使容認」について、閣議決定だけではまったく実効力が無いから問題はない。実効力を持つには、「関連法案」が成立することだから、それを阻止しなければならない。それには、まだまだチャンスがある。
1.国会議員に「反対」の意思表示をすること
2.「憲法違反」の訴訟を支持、応援すること
3.地方議会で「集団的自衛権」への反対決議を請願すること
4.新聞やテレビなどのマスメディアに反対の投書を送ること
5.自分のブログやFacebookなどで、反対の意見を書くこと
6.反対イベント(講演会やデモ)に参加や支援をすること
7.選挙に行くこと、意思表示の投票をすること
 ※今後の選挙で、与党が大敗すると「反対」の圧力が与党内部で高まる。
★『地球村』のサイトに意思表示コーナーを作った。ぜひ、意思表示を 
 
■請願のやり方
1.議会事務局に議会の日程、請願の締切日や請願書の書き方、書式を確認
2.請願書を書く(件名、主旨、理由、署名と押印)。
  宛先は議長とし、件名となる部分は、「集団的自衛権行使の法整備に反対する意見書」の提出を求める請願 とする。
  そのあとは、自分の意見を自由に書き、請願趣旨の文末は、「よって、地方自治法第99条の規定により、国に対して、意見書を提出されるよう請願いたします。」で結びます。
3.請願には紹介議員のサインも必要なので、議員控え室を訪ねて依頼します。
 ・新聞記事や論説など参考資料を持参するのも効果的。
 ・知り合いの議員がいれば早いのですが、知らなくても大丈夫。
 ・議員は市民の請願を受けるのが仕事だから遠慮せず依頼してください。
4.請願書を議会事務局に提出し、いつ、どの委員会で話し合われるかを確認。
5.委員会と本会議を傍聴し、議論の行方を見守ります。
 ・大勢で傍聴に行くと効果的です。