【地球は今…】5分でわかる放射能について
放射能汚染やその危険性について、福島の原発事故の情報と共にまとめました。(原)
●放射線の単位、「ベクレル」と「シーベルト」の違い
・ベクレル:「モノが放射線を放つ能力の強さ」
(例えるならば、ストーブがどれだけの熱を出しているか)
・シーベルト:「人体が影響を受ける放射線の量」
(例えるならば、ストーブのそばにいる人がどれだけ熱いか)
●放射能の危険性(ICRP:国際放射線防護委員会資料)
大量の放射線を一度に浴びると、以下のような危険があります。
500ミリシーベルト :リンパ球の減少(免疫の低下)
1000ミリシーベルト :吐き気、嘔吐
2500ミリシーベルト以上:永久不妊
3000ミリシーベルト以上:50%の人が死亡
7000ミリシーベルト以上:100%の人が死亡
(補足)★自然放射線被爆は、1年で2.4ミリシーベルト
レントゲン1枚は、0.1ミリシーベルト
CTスキャン1回は、10ミリシーベルト
※「低線量であっても被曝しただけリスクが増える」のであり、「500ミリシーベルト以下であれば安全であるという意味ではない」、というのが多くの国際的な組織の間での合意です。また、すぐに症状が出なくても、遺伝子を通じて自分の子どもに影響が出ることがあります。
●日本の現状の被曝限度、20ミリシーベルト(Sv)は危険
日本とチェルノブイリの被曝限度
日本の基準値(事故前) |
年間 1ミリSv |
日本の基準値(事故後、福島原発周辺) |
年間 20ミリSv ※1 |
学校での放射線量基準(日本) |
年間 1ミリSv以下 ※2 |
チェルノブイリ原発周辺の移住義務地域 |
年間 5ミリSv以上 |
放射線管理区域(レントゲン室など) |
年間 約5ミリSv、毎時約0.6マイクロSv |
※1:多くの専門家から「根拠がない」との批判の声が上がっている。
そもそも、年間20ミリSvとは非常時の暫定基準として設定された数値です。
※2:通学路など、学校外の影響を入れないなど、基準の意味をなさない。
放射線管理区域(レントゲン室)の基準は年間5ミリSvであり、年間20ミリSvというのは本来、立入禁止の汚染レベルです。年間20ミリSvというのは毎時2.3マイクロSvで、日本では通常、毎時0.1マイクロSvを超えることはありません。国の現在の基準、20ミリSvは通常の200倍であり、到底認めるべきではありません。
●福島の子どもたち
今年8月、福島県が子ども約37万人の甲状腺検査の結果を発表しました。(事故当時18歳以下だった子どもが対象)
甲状腺ガンと確定:57人、甲状腺ガンの疑い: 46人。
地域による発症率に差が無いことから、福島県は「現時点で被曝の影響とは考えられない、これからも経過の観察が必要」としています。
・一般の子どもの甲状腺ガンの発生率は100万人に1~3人(今回の結果は50倍)。地域による差が無いのは、福島県全域に被曝の影響が出ていた可能性もあります。
・チェルノブイリ原発事故では、12万人中64人の子どもが甲状腺ガン、全体の3分の1にあたる4万人に甲状腺異常。
チェルノブイリ周辺で甲状腺ガンの患者数が増加したのは、原発事故から4~5年後なので、福島県でもこれから影響が表面化する可能性は否定できません。
●注意すべきこと
1.ホットスポットに近づかないこと
ホットスポットとは、周辺よりも放射線量が高い場所であり、通常値の10倍、「毎時1マイクロSv以上」をさします。汚染物質、汚染土壌を保管してある場所はもちろん、雨や空気中のチリが集まりやすい、雨どいや側溝などがホットスポットになりやすい場所として知られています。
ホットスポットを掲示しているサイトなどを調べて、近寄らないように注意すること。
2.食べ物に注意
外から放射線を浴びる外部被曝より、呼吸や飲食物などによる内部被曝の方がはるかに危険です。
外部被曝は危険な場所から離れれば避けられますが、体内の放射性物質は排出されるまで内部被曝が続きます。更に、放射線によっては効果範囲が狭くても人体への影響が大きいものもあるので、非常に危険です。汚染食品は食べないこと、汚染水は飲まないこと。
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日本の飲食物の基準値 |
ドイツの飲食物の 基準値 |
放射性セシウム137 (1kgあたり) |
・一般食品(穀類・野菜類・肉・卵・魚) :100ベクレル ・牛乳、乳幼児食品 :50ベクレル ・飲料水 :10ベクレル |
・子ども:4ベクレル ・成人 :8ベクレル |
日本 :2012年4月に改定された食品に対するセシウムの基準値
ドイツ:チェルノブイリの経験を基にドイツ放射線防護協会が策定した基準値
福島原発事故の放射線影響は、まだ結論の出ていない問題です。「健康に全く影響がない」という意見に流されず、被曝を最小限にするための自己防衛はこれからも必要です。暫定基準20ミリSvを定着させないよう、「1ミリSvに戻せ」と声を出しましょう。