地球は今

【地球は今...】アメリカ主導で進む日本の構造改革

2001年頃から、自由民主党政権が構造改革という言葉のもとで様々な改革を進めてきた。郵政民営化などもその一例である。これは日本の政策上必要なことであるかのように思っていたが、実際はアメリカが世界的な戦略上必要なことを日本に押し付けていただけのことである。日本の構造改革の本質とは何か。  (事務局 渡辺裕文)

 

●年次改革要望書とは

1994年よりアメリカ政府と日本政府の間で、お互いの規制緩和をするための要望書を交換してきた。アメリカ側からの要望で、構造改革という言葉のもとで日本の規制緩和が進められた。日本からの要望は一切実現されていない。

 

●年次改革要望書に沿って進められた日本の構造改革

1996年 保険業法改正 ⇒ 保険業の自由化、外資の参入

1997年 独禁法改正  ⇒ 持ち株会社の解禁

1999年 労働法改正  ⇒ 人材派遣が自由化され非正規雇用が増加

2000年 大店法廃止  ⇒ 既存の商店街のシャッター化がすすむ

2003年 商法改正   ⇒ 株主利益優先のアメリカ型経営に

2004年 司法制度改革で弁護士業の自由化、法科大学院の導入、裁判員制度導入

⇒ 司法試験合格者の急増、アメリカ型の訴訟社会になっても対応できるように

2005年 新会社法   ⇒ 起業を簡単に、M&Aが柔軟に

    郵政民営化関連法 ⇒ 郵政事業を民営化、簡易保険も民営化

2009年 独禁法の強化改正

⇒ 企業カルテルの解明が容易に、積極的に刑事告発できるように

現在、著作権保護期間の延長やその強化が求められている。

 

●こんなものまでアメリカからの要求

・携帯電話のナンバーポータビリティ制度

・コンビニでお酒が買えるようになった

・高速道路でバイクの二人乗りができるようになった

・日本の競馬で外国産馬が出走できるようになった

・禁止されていた生のじゃがいもの輸入を解禁し、ポテトチップスに加工できる特区の設置(広島の港に輸入じゃがいものポテトチップス加工工場ができている)

 

⇒ いずれも「消費者の利益」という大義名分のもとに改革が進められている。

 

●その結果、日本に何が起きているのか?

・アメリカの保険業界からの要望で、保険業法や郵政民営化が行われ、郵便局で外資系保険会社の窓口が設置されるようになった。

・雇用関連の法律改正で、日本の年功序列制や終身雇用制が崩れ、アメリカ型の経営や雇用制度になり、社会的な不安定さが増した。

・訴訟が起きた時の司法制度改革が行われ、訴訟件数も増加している。自己の主義主張を優先し、何かあれば訴えることで解決しようとする社会風潮になり、かえってトラブルが多くなった。特にネット社会化でその傾向が強くなっている。

 

アメリカは日本の経済力がアメリカに有利になるような変更を要望してきた。

その結果として、日本の良さがどんどん失われている。

 

●「年次改革要望書」は、「TPP協定」交渉へ

・民主党の鳩山政権になり、年次改革要望書のシステムは廃止された

2011年から「日米経済調和対話」として再開

・今は、TPP協定(環太平洋戦略的経済連携協定)として、関税撤廃による貿易の自由化、貿易障壁の撤廃、グローバル化促進という美辞麗句を並べた「日本の構造改革」が進められようとしている

 

●TPP協定が成立すると

・これまでの拘束力のない要望ではなく、法的拘束力を持つようになる

・日本の法律や規制によって外国の起業や投資家が損をした場合、国際機関に申し立てをし、日本に賠償を求めることができる。また、不都合な日本の法律なども改正を迫られる可能性もある(ISDS条項)

 ⇒ アメリカの都合のいい制度に変更されていく可能性が高い。

TPP協定(環太平洋戦略的経済連携協定)のデメリット

次のような可能性がある。

・海外の安価な商品が輸入され、デフレが進み、日本の産業が崩壊

・安い農産物が輸入されるようになり、日本の農業が大きく衰退

・規制緩和により、食品添加物、遺伝子組み換え食品、残留農薬など、日本の食の安全性が崩壊

・医療や保健の自由化により、国民皆保険制度の崩壊(=安く医療が受けられない、医療格差の拡大などの弊害)が起きる

 

これまで、私たちのため、日本のためと思っていた構造改革は、アメリカの企業のための改革だった。私たちが事実を知り、意思表示をしていくことが唯一の歯止めである。ぜひ、たくさんの人にこの事実を伝えてください。