【地球は今…】5分でわかる感染症(エボラ、デング熱など)
日本ではデング熱が流行しました。世界ではエボラ出血熱が流行しています。
冬にはインフルエンザが流行するかも。今回は感染症についてまとめました。
(事務局 渡辺裕文)
●感染症は大きく2種類
・細菌が原因の感染症 (結核、コレラ、ペスト、赤痢、破傷風など)
※細菌:大きさが細胞の10分の1、自分で分裂して増殖
・ウィルスが原因の感染症(インフルエンザ、肝炎、AIDS、エボラ出血熱、黄熱病、狂犬病、SARS、帯状疱疹、手足口病、デング熱、天然痘など)
※ウィルス:大きさが細胞の100~1000分の1、細胞の中で増殖
●3大感染症
特に世界的に感染者が多く、対応に世界中の国々の協力が必要である感染症(エイズ、結核、マラリア)のこと。
・AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)
感染すると免疫機能が破壊され、他の病気を併発しやすくなる。現在、世界で3500万人が感染。原因であるHIVウィルスは、非常に変異しやすいため、ワクチンは作れない。潜伏期間は10年。発症前の投薬で、発症を抑えられる。検査に行くことが重要。
・結核
年間870万人が感染し100~140万人が死亡。結核菌がセキなどで空気中に撒き散らされて、吸い込んだ人が感染(飛沫感染、空気感染)。発病するとセキや発熱など風邪と同じ症状。
・マラリア
マラリア原虫を蚊が媒介して感染、40℃近い高熱が続く。世界で年間約2億2000万人が感染し、200万人が死亡。
●顧みられない熱帯病
エボラ出血熱など先進国でほとんど発症例のない感染症は、死者や患者が多くても、製薬会社にとっては採算が合わない。このため、治療薬やワクチンへ投資されず、全く製品化が進まない。特に熱帯地方の途上国、貧困層を中心に流行している次の17種類の感染症がWHOにより「顧みられない熱帯病」と呼ばれている。
※先進国の都合で、治療薬やワクチンが製品化されなかったり、ワクチンができても高価なため必要としている人たちには届かないという現状がある。
●本来、ウィルスや細菌は、
新しい感染症の元になっているウィルスや細菌類の多くは、人とは隔離された森林や奥地などで宿主となる生物と共存をしていた。しかし、森林伐採や開発によって人と接触したり、地球温暖化などで媒介する蚊などの生息域が広まったりすることで、人への感染が広まってきた。様々な症状で感染しているヒトが死ぬことは、細菌やウィルスにとっても死滅につながり、好ましいことではないのだ。
●感染症で、私たちが考えなければならないこと
経済発展にともなって、食糧や資源を大量に輸送したり、航空機による短時間での移動など、輸送機関が発達したことで、爆発的に感染が広がる「パンデミック」が起こりやすい状況になっている。
感染症は、私たち先進国の今の生活が招いた結果である。自然を変えてきた私たちの行動が、しっぺ返しとなって戻ってきているのです。次のことを心がけることが重要です。
・感染症がある地域へ行かない
・感染症のことを正しく知り、十分注意し、予防などを行うこと
※今月号のトピックスの「海の侵略的外来種」の項目も御覧ください。