巻頭言

【巻頭言】今年は、どんな年に

 年が明けて2015年、今年はどんな年になるだろう。
 いい年になってほしいが、今年は問題点が山積している。
 私がこの文章を書いているのは(新聞のように前日ではなく)12月9日だから、まだ衆議院選挙の結果もわからない時点なのだ・・・

 おそらく自民党は圧勝したのだろう。
 ただし、それは国民の圧倒的な支持ではなく、投票率が低かったことと、日本の選挙制度の問題点「小選挙区制」によって圧勝したまでだ。
 私たちがあれほど「平和を望むなら自民抜き」と呼びかけていたにもかかわらず。これで、日本はますますおかしな方向に進むだろう。
 残念ながら、これも国民の選択なのだから仕方がない。
 だました方が悪いのか、だまされた方が悪いのか。
 今年、次々と押し寄せる問題は・・・

★「金持ちが笑い、国民が泣く」
・この2年間で円安(80円⇒120円)、株高(8千円⇒1万8千円)。
・株高によって、株を持っている人は2倍富裕になった
・円安によって、輸出企業(大企業)は輸出が伸びた
・原料を輸入して加工して国内販売する企業は値上げ、物価上昇
・国民は増税、物価高、年金カット、健保負担アップで踏んだり蹴ったり
・国民の貯蓄は、国が公共投資にバラマキ、赤字に消えた・・・
・増税分は、異次元の公共投資、企業減税、バラマキに使われている・・・
 
 アベノミクスは、国民の血税をシャンパンタワー(ピラミッド)の上から注ぐようなもの。安倍総理は「やがてみんなが豊かになる」と言うが、かつて資本主義でそんな「夢物語」が実現したことがあっただろうか。
 安倍政権は、過去の自民党政権がやってきたことの「総仕上げ」なのだ。

★集団的自衛権
 「アメリカが攻撃されれば自衛隊はアメリカのために戦う」という「集団的自衛権」は、明らか「憲法違反」だ。総理があげる「アメリカの艦船で輸送される日本人を自衛隊が護衛する」「外国にいる日本人を自衛隊が救助する」などの例は「集団的自衛権」を持ち出すまでもなく、すべて個別的自衛権(警察権)で対応可能なことばかりだ。
 今後、政府は関連法案を強行成立させようとするが、これはアメリカを利するだけで国民を危険に陥れる。断じて許してはならない。

★原発再稼働
 自民党は公約で「原発に依存しない社会」を掲げて政権を奪取したにも関わらず、「原発はベースロード電源、安全が確認されれば再稼働」と態度を変えた。これも公約違反。国民への裏切りだ。
 一方、原子力規制委員会は「私たちは安全を保証するものではない。書類審査をするだけだ。再稼働はあくまで政府と企業の責任」と答弁。
 この国の政府の責任は一体どうなっているのか。

★TPP
 2年前、自民党は公約で「TPPは反対」と掲げて政権を奪取したにも関わらず、TPPを推進しようとしている。TPPはアメリカの社会システムを日本国内に持ち込むこと、つまり日本がアメリカの一つの州になることだ。農業の打撃だけではなく、アメリカの差別社会が日本に入ってくる。日本はアメリカにすり寄り、反アジア政策を進めている。
 なぜ国民はそんな政府を支持したのだろう。

★普天間基地の辺野古移設
 仲井間前知事は、4年前「移設反対」「少なくても県外」を公約に掲げて当選したが1年前、突然「移設」を認可、「いい正月が迎えられる」と語った。安倍政権の3000億円の経済支援とのバーターだった。
県民も国民も驚き、安倍政権の無軌道ぶりを印象付ける事件だった。
 昨秋の知事選では県民の「移設反対」の願いを受けて翁長氏が圧勝したが、仲井間前知事は任期切れ寸前、工法変更(仮設道路と護岸の追加)を承認。この変更で、辺野古移設に反対する名護市の稲嶺市長の権限が及ぶ区域での作業を避けることができ、稲嶺市長が漁港の使用を認めなくても工事が進められることになる。  新知事の「移設反対」の動きは、さらに困難になる。

★外交問題
 安倍総理は、靖国神社、尖閣諸島、慰安婦問題などで反中、反韓の態度を取っているが、原因は安倍総理が個人的に戦前の価値観や偏見を持っているからではないだろうか。総理の個人的思想や偏見で国民が悪影響を受けるのは大きな問題だし、困った事態だ。
 中国のGDPは1994年には日本の2割だったが、現在は日本の2倍に達した。この20年で10倍に伸びたが、日本は伸びていない。
 http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&c1=CN&c2=JP
 中国は急激な経済拡大で軍備も拡大、領土や領海に対する政策を大きく変えてきた。特に日本海、南シナ海の領有問題は深刻だ。
 この動きに対して、安倍総理は硬直した対応をしている。その一つが集団的自衛権だが、「対立」には「対立」が返ってくる。もっと柔軟で、したたかな話し合い、「平和の三原則」と「非対立」を学んでもらいたい。

 今年は、これ以外にも予想外の問題も起こるだろう。
 原因は、自民党の圧勝と安倍政権の継続だ。
 軌道修正のためには、「内閣不信任案」⇒衆議院解散⇒総選挙のやり直しが必要だろう。

●日本の政治の問題点
 日本の政治が、他の先進国と比べて、劣っている原因は7つある。
 メディアが未熟、記者クラブの存在、批判精神が不足、国民が政治に無関心、二世三世の政治家が多い、企業との癒着、族議員の存在、政財官の癒着、政治献金、国会議員の給与が高すぎる、などなど。
しかし、制度的に、絶対に改めなければいけない問題がある。

★小選挙区
 日本の政治の最大の問題は小選挙区制だ。
 欧米のように二大政党ならば小選挙区制は機能するが、現状の日本のように自民党が3~4割の支持があり、他の野党が弱小の場合、小選挙区制では自民党が全勝のような圧勝になる。これが小選挙区制の欠点なのだ。これでは野党が育たず、長期政権のもとで政治が堕落する。それが日本に本当の民主主義が生まれない原因だ。
 こういう国では小選挙区制は禁止すべきだ。

★国民投票
 日本の選挙は、公約を掲げて「国民に信を問う」が、当選すると公約を守らないし、そのことで責任を取ることもない。国民はそれに馴れてしまい、諦めてしまっている。それを改めるためには、重要な問題について国民の意思を問う「国民投票」が必要だ。日本にも国民投票の制度はあるが、それは「憲法改正」の時だけしか機能しない仕組みになっている。
 日本でも、「重要法案」は「国民投票」によって意思表示ができるようにしなければならない。まずは、「原発」、「集団的自衛権」、「特定秘密保護法」、「TPP」、「死刑」、「国家赤字」、「増税」など、「国民に信を問う」ことが必要だ。

●事実を知らせたい、事実を知ってもらいたい
 私がやれることは、事実を知らせること。
 講演会は、周りの人に知ってもらうのには講演会は一番効果的です。
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