地球は今

【地球は今…】どうなる?超高齢化社会、日本

日本は少子高齢化が進み、50年後には高齢化率が40%を超える超高齢化社会になると予測されています。世界の国々の福祉政策から日本のあるべき姿を考えます。
                        (事務局 渡辺裕文)

●先進国化すると人口はどうなるのか?
1.もともとは「多産多死」で人口一定
2.医療の発達によって「少死」へ  ⇒寿命が伸び、人口が増える
3.生活、価値観の変化で「少産」へ ⇒少子高齢化

4.安定した社会          ⇒人口安定
先進国は共通して「少子高齢化」を抱えているが、
日本は戦後、ベビーブーム、高度経済成長などが顕著だったため、その反動も顕著に表れた。

●日本のこれから
・日本の高齢化率は25%と世界第一位(右表)
  今後50年で、高齢化率は40%を超えると予測  ⇒日本の5人のうち2人が65歳以上となる。
・そして、人口減少社会へ
 これまでは平均寿命が伸びていたため、
 少子化が進んでも人口は増加していた。
 少子化がすすみ、2010年を境に人口が減少しはじめた。
 ⇒2040年代後半には1億人を割り、50年後には8000万人まで減少と推計。

●65歳以上を現役世代(15~64歳)で支えると考えると
・1960年代(胴上げ型)
 現役世代10人で高齢者一人を 支えていた
・2000年代(騎馬戦型)
 現役世代2~3人で高齢者一人 を支えている
・2050年代以降(肩車型)
現役世代1.2人で高齢者一人を支えるようになる
 ⇒これからの社会福祉政策が 重要となる

 

 

●どのくらい社会保障費を使っているのか?
 先進国(OECD34カ国)で政府が出す社会保障費を各国のGDPに対する割合で比較したデータがある(2014年のデータ、右表) 
・北欧の国々やフランスは社会保障費が大きいが、 税負担も大きい
 ⇒福祉に重点を置き、富を再分配する政策を行っている

●欧米の社会福祉政策(特に高齢者政策)
 少子高齢化が先行した欧米の先進国は、様々な社会福祉政策を行っている。
【スウェーデン】
・高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉、生活保護などについて、総合的な福祉政策を実施
・市町村が福祉政策を独自に実施
 社会的入院はない ⇒在宅、グループホームなど介護付き住宅
・自己負担(上限月額25000円)ですべての介護サービスが受けられる
 家族が介護のために、仕事を辞めるなど負担が増える問題は起きない

【ドイツ】
・社会保障は生活保護や障害者福祉などに限られる
 高齢者介護は、税金ではなく、保険料(所得の2%を徴収)で実施

【イギリス】
・1600年代から国が社会保障を行っていた(世界の先駆け)
 「ゆりかごから墓場まで」(1942年のスローガン)
・1970年代には福祉行政(児童、高齢者、障害者など)の一元化
・医療は税金で行うため原則無料
・サッチャー政権以降、福祉サービスが市場化(行政⇒民間へ)
 富裕な人とそうでない人との福祉サービスの差別化

●日本はどこへ行くのか
 自民党安倍政権になり、障がい者負担の増加、生活保護の減額など福祉政策の縮小が行われてきた。さらに介護報酬の切り下げなど、高齢者へしわ寄せとなる政策も検討されている。弱者の切り捨てではなく、誰もが幸せに暮らせる政策に転換していくために意思表示が必要である。