スペシャル対談

2015年3月 アースネット・なごや監事 田邊登志夫さん

アースネット・なごや監事、瑞穂エコサロン代表の田邉さんは、86歳の『地球村』会員です。「なごや環境大学」や「愛知サマーセミナー」の講師として、「環境と平和」の問題を伝えています。特に、自身の16歳での戦争体験をテーマにした手記「元志願兵の今伝えたいこと」は大きな反響を生んでいます。

 

環境は自分自身の問題

高木 こんにちは。瑞穂エコサロンにおじゃましました。私たちの出会いはいつ頃でしたか。

 

田邉 97年です。市民大学講座で高木先生の講演を聴き、ショックと感動を受けました。
高木 以来17年間、『地球村』の仲間ですね。
田邉 そうです。実は、高木先生に出会う前から環境には多少興味があって、WWFの会員でもあり、募金活動をしてはWWFの活動支援として送る活動をしていました。しかし、高木先生のお話を聴いて、環境問題とは、誰かに活動してもらうことでも、お任せすることでもなく、自分自身の問題なのだ、犯人は自分なのだと気付いたんです。で、このままじゃいかんなと思って、家内と二人ですぐにワンデイセミナーに参加しました。
高木 どうでしたか。その時の感想は。
田邉 高木さんのお話は衝撃的でした。丸一日お話を聴いて、アフターミーティングにも参加して、これはできることをしなければと、『地球村』に入れていただきました。その後、講演会も主催させていただきました。当時は、環境問題が新鮮で、呼び掛ければ反応が返ってきて仲間も増えていく時代でした。

高木 そうでしたね。当時は、オゾン層も地球温暖化も森林破壊も、新鮮なショックと驚きで迎えられた。今は、情報過多でマヒしてしまい、かえって動きが鈍いですね。
田邉 おそらく、自分の問題として考えないのでしょうね。ある意味、生活は豊かだから、変えるつもりはない。
高木 節電の電化製品に買換えくらいはするけれど、根本的に生活を見直すのは嫌。自分の問題として考える人が少ないことが、一番の問題。
 
 
 
 
 
二度と戦争をしない国に
高木 では、田邉さんのメインの活動を教えてください。「語り部」でしょうか。
田邉 戦争体験を話すようになったのはわりと最近です。16歳で志願兵になり、軍隊生活は1年2カ月。2年遅れで旧制中学に戻り、終戦後に共産党やら、民主主義やら入ってきて、でも、民主主義といわれてもよくわかっとらんですよ。
高木 今だって、ほとんどの人は民主主義をわかってませんからね。
田邉 ははは。そうでした。で、卒業して会社に入って、労働運動に加わって、当時の階級闘争ですよ。正義感も強くて、間違っていると思ったら黙っておられん性分で、生意気なこともたくさんしました。
高木 田邉さんには、武勇伝がいっぱいありそうですね。
田邉 まあ、人生は一回しかない。やり直しもきかないから、大事にしよう、ムダなことはやめたいなと思うのです。そのためには、日常的に自分を見つめることが大事なんですよ。そう実践している。
高木 自分を見つめる中から、戦争を語り始めたということですか。
田邉 12年前のサマーセミナーから、それをテーマにやらせていただいています。「元志願兵の今伝えたいこと」という表題で、中身は、「この国は昔、過ちを犯した。だから二度と、戦争をしませんよ」という話です。
高木 サマーセミナーでは、何人くらいにお話しているんですか。
田邉 今年はちょっと少なくて30人くらい。生徒だけではなく、PTAも先生も、聞きたい人が来るんです。戦争中は、人権も自由もなかった。人間らしさが許されない、「天皇陛下万歳!」で死ぬ世界。今は、何を考えてもいい自由な世界であることを考えてほしい。そして、二度とこの国を戦争できる国にしてはならないってことを考えてほしい。
高木 戦争体験世代が、それを言ってくださることはとても大事だと思います。
田邉 それはもう、強く言いますよ。安倍政権の特定秘密保護法も、憲法解釈も、大きな間違いだってことを。アメリカの押し付け憲法だという話は本当にでたらめ。日本がとんでもない過ちを犯して、反省を込めて憲法を作ったのだし、そう言いますよ。
 
 
 
生きる道筋に沿って毎日を

高木その通りです。憲法というのは、戦争を反省して作られたものなのに、解釈を変えてアメリカの戦争についていくなんて本当に大間違い。そうしたお話は、サマーセミナー以外でもお話されているのですか。
田邉 自分で会場を借りて、講座を開くこともあります。月に1回、行政で高齢者集会というのがあって、そこでお話しすることもあります。
高木 高齢者集会だと、戦争体験者もおられるのでは。
田邉 おりますよ。ただ、嫌なことをいっぱいやっているから、人にしゃべれんのですよ。私はあまり恥ずかしいことをやっていないから進んで話せる。私が話すことで戦争を知ってもらえれば、憲法は変えちゃいけないとわかってもらえると思うし、そういう形で平和のために役に立ちたいんですよ。
高木 素晴らしい活動だと思います。ここ1、2年が、平和にとって一番の分岐点なので、『地球村』でも平和の問題をたくさん伝えていきます。田邉さんも協力してくださいね。
田邉 戦争体験の手記も書いたんです。書いた以上は、たくさんの人に読んでもらって平和につながるようにしたいと思います。お役に立てればうれしい。
高木 こちらの瑞穂サロンは、どのように活用されているのですか。
田邉 近所の老人グループが集まって、絆を強めるのが主眼。今、2グループが通ってきていて、手芸をやったり、お話したり、ビデオを見たり。私も求められれば環境や戦争のことも話します。私はね、すべては自分自身で、生きる道筋、バックボーンがあるから、揺らがんのですよ。大きな成果を求めるのではなく、毎日少しずつの積み重ねを死ぬまで続けます。
高木 よくわかります。心も体も健康で、長生き してくださいね。