地球は今

【地球は今…】東日本大震災から4年

東日本大震災から4年が経過した。復興の状況、福島第一原発事故の処理、原発再稼働の状況をまとめた。                (事務局 渡辺裕文)

●東日本大震災の状況
【空前の大被害】
・死者行方不明1.8万人、全半壊家屋40万戸
・大震災の被害総額17兆円(内閣府)
「自然災害の経済損失額としては史上最大(世界銀行)」
【復興の遅れ】(復興庁 2015年1月資料ほか)
 ・避難者数   約47万人 ⇒ 約23万人
  うち福島県   16万人 ⇒  12万人(うち県外4.7万人)
・仮設住宅入居者 11.6万人 ⇒   8万人
※阪神大震災では4年半で仮設住宅の入居者は、ほぼゼロになっていた。
仮設住宅の耐用年数は2年。健康面など早期の仮設からの移転が必要。
・災害公営住宅:2万9千戸の予定のうち、完成は5,764戸(19%)
   ※入居者の4割が高齢者で、孤独死の増加が心配される。
コミュニティづくりが重要となってくる。
 ・津波被害の農地 2.1万haのうち、1.5万haで再開可能に
   ※福島県だけは被災農地の多くが避難指示区域のため農地再開が進まない。

●進まない原発事故処理
・チェルノブイリ事故に匹敵する放射性物質が飛散
  福島原発事故=1100京ベクレル、チェルノブイリ事故=1400京ベクレル
・食品などの輸入規制(※農水省2015年3月3日)
今も日本からの農林水産物を米国、EU、中国など37カ国で輸入規制
(輸入停止や放射能検査証明書義務付けなど)
・原発関連死:1232人(東京新聞2015年3月10日)
・福島第一原発 廃炉まで30~40年かかると言われている。
 4号機  :核燃料の取り出し完了(2014年12月20日)。廃炉作業へ。
1~3号機:ガレキ撤去中。現在も、核燃料の冷却が必要。
       核燃料がメルトダウンしたため、取り出しや廃炉のメドは立っていない。
・止まらぬ汚染水
福島第一原発に毎日300~400トンの地下水が流入し、放射能汚染水となっている。
現在、汚染水の総量は約65万トン(2015年2月)
・凍土壁問題
 汚染水の流入、流出を防ぐため、原発の周囲1.5キロにわたり、地中の土壌を冷却し凍結させ、氷の壁(凍土壁)で囲う工事を総工費320億円かけて実施中。
 冷却のために必要な電力は、家庭1万3千軒分。
 しかし、2号機の地下トンネルで凍土壁を実施したが失敗、断念している。
・原発ゴミ問題
 放射性物質を含むガレキ(福島第1原発内):13万8600立方メートル
 福島県内の汚染土など  :最大2040万立方メートル(東京ドーム8杯分)
 福島県以外の7県の汚染土:27万立方メートル
 ⇒ 処理のメドは立っていない。

●原発再稼働が進んでいる
政府主導で原発再稼働が着実に進められている。
・稼働申請13原発(20基)
・再稼働には3段階、①規制クリア、②地元合意、③最終審査
・鹿児島、川内原発1、2号機 ①、②が終わり、早ければ5月以降に再稼働
・福井県 高浜原発3、4号機 ①が終わり、②「地元合意」が焦点
・他に申請中で①がまだのものが16基ある。
※現状、原発ゼロでも電力供給できており、電力規制もない。原発ゼロは可能。
 私たちが「原発ゼロ」の意志表示をすることで子どもたちに安全な未来を実現しよう。

●でたらめな復興予算
・今年度まで(震災から5年間)の復興支援は、特別に設けた復興予算で支援。
 ⇒ 安倍首相は、来年以降は新たな枠組みで支援を行うと発表。
・野田政権下では、官僚主導で、被災地外の建物の改修、電力会社への補助金など本来の支援以外の5000を超える事業に予算が流用。
 ⇒ 市民の意思表示によって、一部は返還
・安倍政権下では、原発輸出関連、防衛費(ヘリ購入など)などへも流用と報道。
※私たちの税金が、本当に必要な人のところまでまだまだ届いていない。
新たな枠組みが有効に機能するよう、政府への意思表示を続けていく事が必要。