地球は今

【地球は今…】憲法って何? 憲法改正を考える

日本国憲法を改憲しようという動きが始まっています。
改めて、憲法とは何か考えてみましょう。

(事務局 渡辺裕文)

●憲法とは 国のあり方を定める法律

★日本国憲法の3つの理念
 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義
★『地球村』ツアーで訪問した国の憲法
・ブータン 国民総幸福(GNH)の促進
・キューバ 平等(貧富の差がない)、衣食・医療・教育を保障
・ブータン 「三権+選挙」の四権分立、軍隊廃止、非武装中立

●憲法のもう一つの側面
・憲法は、「国民の主権、国民の人権、国民の平等」を守るためにある。
 それを脅かすものを縛るためにある。つまり国家権力を縛るためにある。
・そのために、国家権力が簡単に憲法回生できないように規定している。

国名(回数) 現行憲法の改正の条件(例:日本国憲法96条)
日本(0) 衆参両院の「3分の2以上」の賛成、国民投票の「過半数」
アメリカ(6) 上下両院の「3分の2以上」の賛成、全州の「4分の3以上」の州議会の賛成
ドイツ(59) 連邦議会、連邦参議院(各州の首相や閣僚など)の「3分の2以上」の賛成
フランス(24) 国民議会と元老院の「過半数」の賛成、両院合同会議で「5分の3以上」の賛成または国民投票の過半数
イタリア(15) 上下両院で3ヵ月以上の間隔を置いた2回の可決(1回目は過半数、2回目は3分の2位上)、要請があれば国民投票
カナダ(2) 上下両院の「過半数」の賛成、「3分の2以上」の州議会
オーストラリア(5) 上下院の「過半数」の賛成、国民投票で投票数の「過半数」かつ過半数の州で投票の過半数の賛成(二重の過半数)
韓国(0) 国会の「3分の2」の賛成後、国民投票の「過半数」

※日本国憲法96条は、ハードルを下げる必要はないし、下げるのは危険。

【日本国憲法の始まり】

日本国憲法はアメリカの押しつけだという意見があるが、ある意味正しい。
日本が再軍備しないように、9条で「戦争放棄」、「戦力不保持」、「交戦権の否認」を決めた。結果としてそのことで戦後70年間、日本は戦争に巻き込まれず、経済成長を享受し、アメリカからの戦争協力、戦争参加の圧力を拒否できたのだ。
アメリカの経済力、軍事力が衰退した今、アメリカが日本の経済力、軍事力を利用したくなったのは事実。だからこそ、いま、この憲法9条を捨ててはならないのだ。

●日本国憲法と改憲草案(3年前の自民党試案)の比較 ★平和主義を否定し、戦争できる国に ・「侵略戦争を反省し、非戦を誓う」「世界の人の平和的生存権」を削除 ・「国防軍を保持する」と軍隊を持つことを明確化 ★基本的人権を限定 ・国民の権利を「公益及び公の秩序に反しない限り」と限定 ・表現の自由を限定し、活動や結社も政府が禁止できるように変更 ・国民と国家(公益、公の秩序)の位置が逆転、国家が上位になる ★最高法規の意味が変わる ・「国民の自由と平等を尊ぶ」から「国民が憲法を尊ぶ」へ変更 ・国家権力を縛る憲法から国民を縛る憲法へ変更 ★改憲のハードルを下げる ・改憲の発議を「衆参両院の3分の2位上」 ⇒ 「過半数の賛成」に変更

その他、象徴天皇を国家元首化、内閣総理大臣の権限強化、政教分離の原則の削除、外国人選挙権の否定、投票時の一票の格差の緩和、など様々な問題点があります。 現政府は、「特定秘密保護法制定」「武器輸出三原則の撤廃」「自衛隊の海外派遣に関する恒久法」「安保法制の与党合意」と、平和憲法違反の政策を実施し、最後に合憲化するための平和憲法をなくそうとしています。 改めて、平和憲法の大切さを認識し、「改憲ノー」の意思表示をしていきましょう。