【地球は今…】日本のランキング(平和、幸福、生活編)
前月に引き続き、国にとって重要な項目の世界ランキングを調べることで、日本の国の全体像や世界での位置づけを見てみよう。(事務局 渡辺裕文)
●軍事費 9位 457億ドル (2014年、143カ国中)
●一人あたりの軍事費 34位 360ドル (世界平均 292ドル)
平和憲法を持つが、軍事費は世界第9位。一人あたりは34位、世界平均292ドルより多い。軍隊の人数(約25万人)は22位。日本は軍事大国である。
●核(プルトニウム)保有量 5位
●核危険度 13位(25カ国中)
日本には核兵器はないが、原料のプルトニウムは世界5位。これは「数千発の核兵器を作ることが可能」(日経2015年4月22日)。日本の「核脅威イニシアティブ」は、核物質を保有している国25カ国中13位。核物質の保有量が多く、保管状況が悪いと判断されている。
●世界平和度指数 8位 (162カ国中)
隣国との関係 104位、重武装兵器 149位(※)
イギリスの経済平和研究所が世界の平和度(暴力、犯罪、軍事、戦争)を分析した「世界平和度指数」は、2009年には5位だったが安倍政権になって8位に下がった。隣国(中国、韓国)との関係は104位、重兵器(装甲車両、大砲、戦闘機、戦闘艦)の数が多いため149位(※)とかなり悪い。
(※)重武装兵器が多いほど、「平和」ではないため順位は低くなる。
以上をまとめると、日本は国内の治安が良く、平和憲法を持っていることから平和度は8位だが、隣国(中国や韓国)との関係が悪く、戦争のための準備を進めている国、いつでも核兵器を作ることが出来る国であると見られている。
●幸福度 先進国では20位 (OECD36カ国中)
先進国では46位 (158カ国中 国連SDSN)
OECD調査では、日本は治安がよく1位と評価されているが、市民運動32位、仕事と生活のバランス30位、健康28位、生活満足度28位と、生活面ではかなり低い。
国連SDSNの評価では、デンマーク、ノルウェーなどの北欧諸国、コスタリカ、パナマなど中米の国々やオーストラリア、ニュージーランドなどが上位に入っている。これらの国々は医療や福祉、公共サービスなどに力を入れているが、日本は福祉面や人生選択の自由度が低くなっているため評価が低い。
●医療・保険 10位 (190カ国中 WHO)
日本は、国民皆保険制度が評価されて上位になっている。アメリカは保険費が高く6人に1人しか医療保険に入れない、医療費が高額、保険がないと手術も治療も受けられない、お金持ちしか医療を受けられないなどの理由で37位になっている。
TPPが成立すると、アメリカの医療、保険の会社が日本に参入し、日本もアメリカのようにお金持ちでないと医療を受けられなくなる可能性が高い。
●福祉 17位 (OECD34カ国中)
国民一人あたりの社会福祉費は先進国では中ほどの17位。
日本は、年金など高齢者福祉は8位と比較的高めだが、障害者(29位)、職業訓練や雇用創出(27位)、失業手当(27位)、出産・育児・保育(24位)と社会的弱者に対する対策は順位が低い。
●格差社会 72位 (144カ国中 アメリカCIA)
アメリカ中央情報局(CIA)が調査した各国の所得格差(ジニ係数)のランキングは、144カ国中72位と真ん中に位置している。上位は、デンマーク、スウェーデン、オランダなどが入っている。
日本は、福祉分野はとても先進国とはいえない状況にある。上位にある医療分野も、今後のTPPの進捗で下がる可能性が高い。
日本の国民は、現状のように軍事大国を目指すのではなく、将来の幸福のための政策に切り替えることを大多数の国民は望んでいる。いま、意思表示をしていくことが大切である。