地球は今

【地球は今…】世界の難民は今

シリアの紛争で多くのシリア人が欧州などへ逃れています。
先日、安倍首相は国連で「難民対策のお金は出すが、難民は受け入れない」と
表明し、世界に非難と失望が広がっています。

(事務局 渡辺裕文)

●全世界の難民の数

6000万人(UNHCR 2015年6月)
内訳 国外へ逃れた人 2000万人(難民という)
   国内へ逃れた人 4000万人(避難民という)

●国外へ出た難民が最も多い国

最多 シリア...388万人(人口 2200万人)
2番 アフガニスタン...259万人(人口 3000万人)
3番 ソマリア...111万人(人口 1000万人)
スーダン、南スーダン、コンゴ、ミャンマー、中央アフリカ、・・・
多くの場合、紛争やテロなどから逃れて、難民となっている。
特にシリア(人口2200万人)は、700万人が国内避難、400万人が国外避難、つまり人口の半分が国内外に避難という異常事態になっている。

●難民受入の大きい国

トルコ159万人、パキスタン151万人、レバノン115万人、イラン98万人、エチオピア66万人、ヨルダン65万人
多くは難民を出している国の周辺国であり、貧しい国であるため、その国も治安や食料問題で危機に陥り、難民もきびしい生活に陥っている。


今回のシリア難民について

中東地域の民主化(アラブの春)の影響で、シリアでも政府軍と反政府軍による内戦が始まった。
さらに隣国イラクから「IS(イスラム国)」が攻め込んできたため、三者による紛争が激化、大量の難民が脱出した。
・国外難民400万人、国内避難民700万人。
 (シリア人口2200万人の半数が難民・避難民に)
・国外難民の9割以上は、トルコ(193万人)、レバノン(111万人)、
 ヨルダン(62万人)、イラク(25万人)など周辺国へ。
・欧州にたどり着いたシリア難民は約43万人(2015年8月)
 ドイツ(11万人)、セルビア(8万人)、スウェーデン(6万人)など
 ドイツを中心にさらに難民受け入れを増やす方向

●2014年に認定された難民は(UNHCR)

・難民申請は163万人!(ロシア27万、ドイツ17万、アメリカ12万)
・難民認定・在留許可は61万人(ロシア25万、ドイツ4万、スウェーデン3万)

●なぜ日本は難民を受け入れないのか(法務省)

・昨年は難民申請者5000人のうち、難民認定は11名!
 人道的な配慮が必要なため在留許可者110人!
・日本政府の認める難民は「人種、宗教、国籍、思想を理由に迫害を受けている人たち」であり、世界で増えている「飢餓貧困、環境、紛争による難民」は難民として認めていないため。
・日本政府の難民定義は世界の現状とはかけ離れている。

●安倍政権の姿勢

★2015年9月30日の安倍主訴うの国連でのスピーチ
・シリア難民対策に960億円の支援を表明
・一方、記者会見では「シリア難民の受け入れは行わない」と表明
⇒安倍首相は、難民の受け入れを移民問題、人口問題と取り違えている。

★2015年1月、カイロで「ISと戦う国々への資金援助」を表明。
そのことで日本人2人が「IS」に殺害された。

★中国の南京事件の世界遺産登録への抗議として、ユネスコへの財源支援を見直すことを検討しているが、それはおかしいのではないか。
ユネスコには多くの役割、事業があり、その一つが日本の主張に反したからといって「資金支援を見直す」のは世界から見てどうなんだろう。

●今、日本に求められること

★安倍首相は「積極的平和主義」を掲げて、憲法違反の軍事強化を強行しようとしているが、これは「軍国主義」そのものだ。

★本来の「積極的平和主義」とは
①問題解決は軍事強化ではなく積極的に対話すること。
②紛争や貧困などに対しては積極的に和解の仲介をすること。
③難民など弱者に対して積極的に手を差し伸べること。

★「安保法」は不必要、「日米安保条約」で十分
日米安保条約は、安倍首相の祖父・岸信介が結び、大叔父・佐藤栄佐久が仕上げた。
この条約で日本は米国を高額で「用心棒」として雇ったのだ。
その用心棒を守ろうという「安保法」はおかしいし、違法なのだ。