地球は今

【地球は今…】海の恩恵と現状

日本は四方を海に囲まれた島国です。今回は海から恩恵と現状をまとめ、
いつまでも豊かな恵みの海であるためにどうすればいいか、考えてみた。

(落合真弓)

●地球の歴史は海の歴史

海と大気の存在によって、地球は生命にあふれる惑星になった。
生命を育むために必要な食料(養分)、大気、資源の多くは、実は海からの恩恵なのだ。
私たちは、海の恩恵をどれだけ知っているだろうか。

 ★地球の誕生・・・46億年前、宇宙のチリが集まり、太陽系の第3惑星として誕生

  • 地球の大きさと太陽との距離の微妙なバランスで、大気と水が存在する。
  • これこそ地球のミラクルだ!

 ★海の存在・・・40億年前、地表温度が下がり、豪雨が降り続き、海ができた。

  • 太古の海は、地表気温も高く、気圧も高いため高温だった(約400℃)
  • 海の存在は、①水の存在、②水が液体で存在できる温度、③水が蒸発しないで存在できる地球の重力(引力)と大気の存在による。

 ★生命の誕生・・・長い年月をかけて、アミノ酸が合成され、36億年前、最初の生命体が生まれ、その後、光合成ができる藻類(シアノバクテリア)が生まれた。

  • 藻類は光合成により二酸化炭素を吸って酸素を出し続け、現在の大気ができた。
  • 当時の二酸化炭素の大部分は、化石燃料や石灰として海底に埋蔵された。
    それが石油、石炭、ガスとして私たちにエネルギーを供給してくれている。
    カルスト台地や鍾乳洞は、海底で堆積した石灰岩が隆起してできたものだ。
  • 海中の酸素が金属イオンを酸化し海底に沈殿させた。
    それが現在、鉄鉱床や銅山として鉄、銅、レアメタルなどを供給してくれている。
  • 5億年前、オゾン層が形成され有害な紫外線を遮断。
    陸上には植物が出現、続いて昆虫が出現し、その後、両生類が上陸した。
    動物の体液(血液、羊水など)は当時の海水を起源としているので、塩分濃度は当時の海水の0.9%。(現在は3.5%)
  • 海は生命の起源であり、海を汚すことは生命の危機だ。

●海の恩恵

 ★酸素の供給・・・・酸素の1/2~1/3供給
 ★炭素の固定・・・・二酸化炭素の1/2~1/3を吸収し、サンゴ、貝殻などに固定
 ★気温の安定・・・・海流による熱の循環で気温を安定させている
 ★水と食料の供給・・生命に不可欠な水循環のメインは海、食料の3割も海から供給
 ★鉱物資源・・・・・海底にはマンガン塊など多くの金属、レアメタルが眠っている
 ★エネルギー資源・・石油、天然ガスなどの3割は海底採掘
 ★重要な生態系・・・海の面積は地球の7割、全生物種の3割が生存している

●生命維持装置、母なる海に異変

 ★生き物の住処である珊瑚礁や藻場が死滅し、生態系を破壊
 ★食物連鎖による有害物質の生物への蓄積
  大型動物は高濃度汚染され、奇形や異常行動。人間にも健康被害など
 ★漁獲量の減少
海洋汚染によって、生物は死滅、酸素の供給は停止、二酸化炭素の吸収も停止!!

●その原因は・・・

 ★ゴミ、汚染物質、化学物質など、汚染物質の海洋排出

  • 工場や農場、家庭からの廃水や排ガス
      ※魚が生きられる水質に戻すには、マヨネーズ24万倍 てんぷら油20万倍 醤油3万倍
       味噌汁7000倍 ラーメンの汁5000倍 米のとぎ汁600倍の水が必要

 ★戦争や開発、タンカーや石油掘削、原発などの事故

  • 戦争による石油関連施設の破壊(湾岸戦争)
  • 沿岸の開発、埋め立て
    辺野古では大量のコンクリートブロック投下により、サンゴ、ジュゴンの危機
  • 原発事故、原子力潜水艦など膨大な放射性汚染
    ※福島第一原発の汚染水漏れを解決するために設置した「凍土遮水壁」は役に立たず、
     汚染水の流出は6年間続いており、海底土から800ベクレル/kgのセシウムが検出されている。
     安倍首相は五輪選考委員会で「完全にコントロールされている」と宣言したが虚偽・偽証だ。

 ★海水温の上昇、酸性化
海水温上昇はサンゴの白化やエルニーニョ、ラニーニャなどの異常気象をもたらす。
海水の酸性化は海中生物の生態系に壊滅的な被害を与える。

●私たちがめざす未来ビジョン

 ★ゴミ、汚染物質、化学物質など、汚染物質の海洋投棄の全面禁止
 ★脱原発、自然エネルギーへシフト
 ★大量生産、大量消費、大量廃棄の抜本的見直しへ
 ★資源の循環、自給自足へ
 ★「永続可能な社会」のビジョンを示すこと

●ビジョンに向けて、私たちにできること

 ★グリーンコンシューマになろう
 ★未来のビジョンをはっきりとイメージしよう
 ★自分で調べ、自分の頭で考えよう
 ★環境や未来に関心を持ち、責任をもとう
 ★事実を知り、実践し、伝えられるようになろう
 ★『足るを知る生活』にしよう
   ◎詳しい解決方法は、『宇宙船地球号のゆくえ』をお読みください!