【地球は今…】日本は女性議員がなぜ少ない
1945年 10月に女性に参政権が認められ、翌年 4月 10日、日本女性が初めて立候補・投票。女性議員 39人(8.4%)が誕生したが、72年たった今も女性議員は少ない。その要因と女性の政治参画を進める施策を提案する。(落合真弓)
●女性議員、女性市長の割合
(2017年・列国議会同盟発表、内閣府資料ほか)
★国会議員の女性割合 衆議院 9.3%、世界 193ヵ国中 164位、世界平均 22.9%
★地方議会の女性議員割合は 11.6%
★女性議員ゼロの議会 市議会は 6.4%、町村議会は 33.3%
★女性市長は 813市区中 18名(2.2%)
★女性閣僚の割合 日本は 11.8%、世界 186ヵ国中 112位 (世界銀行 2012年)
●どうして女性議員が増えないのか
★女性候補者が少ない
- 女性立候補者の割合 自民 7.5% 公明 9.4% 立憲 24.4% 希望 20%
共産 23.9% 維新 7.7% 社民 19% (2017年衆院選)
★「夫は働き、妻は家庭を守る」、「政治は男性のもの」という意識、風土
★自民党政権は長年にわたって、女性の平等や自由な働き方に反対してきた
- 夫婦別姓、保育園待機児童、労働規制、母子家庭の差別、女性の再婚禁止期間を定めた法律など
⇒国連から「女性差別」について何度も是正勧告を受けている
◎世界経済フォーラムによる、男女格差の度合いを示すジェンダーギャップ指数ランキング(2017年)は 144ヵ国中 114位で、サミット構成国である G7の中では最下位
女性議員を増やすための法案は 2017年、全党が合意し、第 193回(2017年)国会で成立する見込みだったが、「共謀罪」の強行採決と「森友・加計学園」問題の幕引きのために持ち越し。実質的に安倍政権が「女性の政治参加への権利」を阻んだ。 |
●与党の大臣、男性議員たちのセクハラ発言、セクハラ野次
- 石原慎太郎氏「閉経して子どもが産めない女が生きているのは無駄で罪」(2001年)
- 森喜朗元総理「子どもを一人もつくらない女性が自由を謳歌し、楽しんで、年取って、税金で面倒みなさいというのはおかしい」(2003年全国私立幼稚園連合会討論会で)
- 柳沢伯夫元厚生大臣「女性は産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」(2007年自民県議の決起集会で)
- 大西英男議員「まず自分が産まないとダメだぞ」(2014年女性議員に対して)
- 山東昭子参議院議員「子ども 4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」(2017年 11月自民党の党役員連絡会で)
- 太田誠一元総務庁長官「集団レイプする人は、まだ元気があるからいい。まだ正常に近いんじゃないか」(2003年全国私立幼稚園連合会の討論会で)
- 女性議員が女性の妊娠・出産の支援体制について質問を行っていた際、与党男性議員が「早く結婚しろ」「産めないのか」の野次(2014年 6月東京都議会で)
- 二階俊博幹事長「自民党の女性候補者割合が 7.5%にとどまる」との質問に答え、「自然の成り行きでいいんじゃないか」との発言(2017年 10月衆議院選のインタビュー)
●女性議員の割合が増えると
★民主主義、平和主義の成熟と強化が期待される
★子育てや介護、教育など女性の視点が加わり、意識の議論が進み政策に反映できる
★女性に対するDV やストーカー、性犯罪への対策や罰則が強化できる
★女性にとって働きやすい社会、生きやすい社会になる
●女性議員を増やすために
★パリテ法、クオータ制の導入
- フランスでは「選挙では男女同数の立候補」(パリテ法)を実施
- 多くの国では「女性の比率を一定以上にすることを義務づけ」(クオータ制)を実施
- 日本では、そうした試みや取り組みがまったくない(自民党政権の長年の考え方、取り組みの結果である)
●議員だけではなく、女性全体が活躍できる社会に向けて
★教育、社会意識、メディアすべてにおいて取り組みが必要
- 現状、安倍政権は「すべての女性が輝く社会づくり」など、思いつきや、人気取りの
キャンペーンをしているが、そこには「本気で実現しよう」という取り組みはない - 野党、市民が一体になり、メディアを巻き込み社会制度の改革に取り組むべきだ
★職場や社会の「両立支援」のインフラ整備が必要
- 保育所の整備、保育士の支援
- 経営者、職場の理解(育児休暇、フレックス勤務、在宅勤務)
- 働き方の多様性(保育・授乳コーナー設置。子どもの同伴勤務、代理勤務の導入)
◎自由や平和、安全や安心という社会の成熟には、女性の進出、
少なくとも政治における男女同数は必要不可欠。