【地球は今…】暮らしの安全:化学物質編
私たちの暮らしは、衣食住医のあらゆる場面で人工的に合成された化学物質によって支えられている。結果として、水や空気、土地を汚し、命の循環が損なわれつつある。
そこで今回は、化学物質と暮らしの安全について考えてみた。(落合真弓)
●化学物質
★もともと自然界になかったもの、人工的に作り出したもの、不自然なもの
★工業的に生産している約10万種のうち、約5000種は毎年1000トン以上を生産
★日本の排出量は毎年、家庭から4万6千トン、家庭外から33万7千トン
★利便性と危険性の両面がある
●身の回りの化学物質
★食品類
保存料(ソルビン酸k、安息香酸(あんそくこうさん)ナトリウムなど)、合成着色料(食用赤色2号など)、発色剤(亜硝酸ナトリウムなど)、甘味料(ステビア、ソルビトール、キシリトール)、缶詰などの容器のコーティング剤(ビスフェノールAなど)など
★住宅や建築物
合成塗料(トルエン、キシレン、ホルムアルデヒドなど)、接着剤(酢酸ビニルなど)、殺虫剤(ピレスロイド系、ネオニコチノイド系)など
★洗濯、化粧品などの日用品
石油系合成界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ラウリル硫酸Naなど)、鉱物油(流動パラフィン)、殺菌剤、防腐剤(ヘキサクロロフェン、トリクロサン、パラペン)、タール系色素、消臭剤、芳香剤など
★衣料品
ナイロン、ポリエステルなど化学繊維、防虫剤(ナフタリン、ピレスロイド系など)、ドライクリーニング(テトラクロロエチレン)など
★医薬品
アセトアミノフィン、イブプロフィン、テトラサイクリンなど
●利便性はあるが・・・
★保存性を高め、食品の色を鮮やかにし、見栄えをよくする
★コストを安くすることができる
★殺虫、除菌など目的の効果は高い
●リスクは大きい
★発がん性や催奇性、健康への深刻な影響があるものが含まれる
- 合成化学物質の汚染は胎児や乳幼児に大きな影響を及ぼす
- 2008年4月、英国食品基準庁は注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関連が疑われる合成着色料6種類について、メーカーへ自主規制するよう勧告
- シックハウス症や化学物質過敏症などの発症
★廃棄による有害化学物質でオゾン層破壊、ダイオキシン、光化学スモッグ発生
★汚染物質による食物連鎖で生態系に影響
★化石燃料など天然資源を使い、大量生産、大量消費、大量廃棄で資源の枯渇
●原因は
★安全性が十分確かめられていないまま、製造や使用が許可されている
★有害性が強く疑われても、それが立証されない限り、法的な措置はとられない
健康や環境に対する脅威がある場合、化学的に完全に因果関係が解明されなくても、適切な予防的措置を求める「予防原則」が、国際的には提唱されている。しかし、日本は行政や産業界などの抵抗が強く、いまだ化学物質政策に明確に位置付けられていない。 |
●危険を減らすには、『地球村』的ライフスタイルをしよう!
★食の自給を!
- 無農薬・無化学肥料の野菜、コメ作り
- 添加物フリーの発酵食品(みそ、醤油、梅干し、漬物など)、手作り
★住宅も衣服は天然素材で自給を!
- 里山を整備して国産木材を使用した住宅
- 綿や蚕から絹織物、羊毛から毛糸やウールで衣服を調達
★エネルギーの自給を!
- 小水力発電など自然エネルギーの自家発電
- 省エネルギー生活
★日用品は天然素材で!
- ヒノキのブロックやユウカリ、ハーブのにおい袋、せっけんなど自然素材の使用
★医療は自己免疫力を高めることが基本!
- 自然治癒力を発揮できる医療、薬草など
◎私たち一人ひとりが身の回りで使うものの安全を把握し、環境への 負荷を最小限に抑えた安全で豊かな暮らしのスタイルにシフトを! |