【地球は今…】地球温暖化
地球温暖化は深刻かつ緊急の問題だ。COP24が開催され、パリ協定の具体的な方策が合意された。その要点と、何をすればいいのかをまとめた。(高木善之・落合眞弓)
●これまでの地球温暖化対策の国際会議
年 | 国際的な動き |
1988年 | 国連環境計画と世界気象機関が国連の化学的活動を支援 ・「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」を設立 |
1992年 | 「国連環境開発会議(リオ地球サミット)」を開催 ・「国連気候変動枠組み条約」に 197ヵ国が署名 |
1994年 | 「国連気候変動枠組み条約」発効、以降毎年「締約国会議(COP)」開催 |
1997年 | COP3で「京都議定書」、2012年までに先進国の排出量の上限を決定 |
2015年 | COP21で「パリ協定」の採択 ・全世界の国々が、産業革命前に比べ世界の平均気温上昇を 2℃未満に抑えたうえで、 1.5℃未満にすることを目指す |
2016年 | 11月、184の締約国がパリ協定に批准し、発効 ※米国は 2017年7月、離脱を表明。合法的に脱退できるのは 2020年 |
2018年 | 10月8日、IPCCによる「1.5℃目標」に関する特別報告 |
2018年 | 12月2日からポーランドで気候変動会議 COP24開催 ・2020年からのパリ協定実施に向けた運用ルール採択 ・削減目標引き上げに取り込むことは合意されなかった |
●IPCCの警告 ~「1.5℃目標」に関する特別報告より~
★なぜ「1.5℃未満」を目指すのか
- 世界の平均気温は、現時点ですでに産業革命以前に比べて 1.0℃上昇している
- この 1℃の上昇は、異常気象、海面上昇、生態系、水資源、食料、健康など大きな影響を与えているが、1.5℃上昇すればさらに悪影響は拡大、2℃上昇すれば深刻な事態になるので、どうしても 1.5℃で止めたい!
- 現状の削減目標では、2040年前後には 1.5℃、今世紀末には 3℃に達する
- 温度上昇を「1.5℃未満」にするためには、2030年に CO2排出量を 2010年より 45%前後減らし、2050年までに CO2排出量ゼロ(排出量=吸収量)にする必要がある
★「1.5℃上昇」の影響
- グリーンランドの氷床が不安定化する可能性がある <liこれが起きると数百年から数千年かけて、海面は数m上昇する
- 温度上昇の連鎖反応(永久凍土やメタンハイドレートのメタン放出、海水や森林の CO2放出など)が大きな気温上昇の引き金を引く可能性もある
- 海水温上昇 2℃以上でサンゴの 99%以上が消滅する
- 陸、森林の生態系、海の生態系が崩壊する。人間にとっても水、食料の危機
- すでにその兆しがアフリカ諸国、東南アジア諸国に現れている
★「1.5℃未満」にするためには
- 先進国が政治、経済を通して社会を大きく転換することが不可欠
- 省エネ社会をめざす(シェアリング、自然エネルギーへの転換)
- 先進国は自らの転換と同時に、途上国の二酸化炭素削減を全面支援
- 脱原発、脱火力、自然エネルギー率を100%へ
- 土地利用、都市、社会インフラの見直し、「永続可能なビジョン」をめざす
●日本はどうする! ~日本の現状~
★日本の温室効果ガス排出量
年 | 排出量(トン) | 1990年比 | 2005年比 | 日本の削減目標 |
1990年 | 12億7500万 | - | - | ◎京都議定書で、第一約束期間(2008~2012年度)における 温室効果ガス排出量を、1990年度比6%削減を決めた。 第一約束期間平均排出量、13億2640万トンで4%増えた |
2005年 | 13億8000万 | 8.2%増 | - | |
2012年 | 13億9800万 | 9.6%増 | 1.3%増 | |
2013年 | 13億6200万 | 6.8%増 | 1.3%増 | |
2017年 | 12億9400万 | 1.5%増 | 6.2%減 |
★日本の部門別CO2排出量割合(2016年度)
排出部門 | 直接排出 | 間接排出 | ◎政府や報道では、「家庭からのCO2排出が多い」という イメージを作っているが、実際は、半分以上が発電所、製鉄所、 セメント工場、化学工場、製油所、パルプ・製紙工場の6業種、 わずか79カ所の発電所、51カ所の工場からの排出であり、 特に35カ所の石炭火力が全体の6分の1 |
エネルギー転換部門 | 42% | 8% | |
産業部門(工場等) | 25% | 35% | |
運輸部門(自動車等) | 17% | 18% | |
家庭部門 | 5% | 16% | |
業務部門・その他 | 11% | 23% |
★日本の削減目標は甘い ~パリ協定を受け今後の削減目標を比較~
2030年までに | 2050年までに | 基準年 | ◎日本の基準年を1990年にすると 2030年21%で削減率はEUの倍ほど違う |
|
日本 | 26%削減 | 80%削減 | 2013年 | |
EU | 40%削減 | 実質「排出ゼロ」 | 1990年 |
●日本の現状
*政治、経済、教育など社会全体が無知、無関心、無責任
*政治家、経営者が長期展望を見失い、目先の利益追求に汲々としている
*国民も政治に関心を失い、目先の景気にばかり関心が向いている
◎解決方法は高木善之著『宇宙船地球号のゆくえ』をお読みください