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【地球は今…】安倍政権の 6年間(経済編)

安倍政権になってからの日本の経済の変化を調べてみた。わかったことは政府の発表とは裏腹に暮らしにくさと格差の拡大をもたらしたことだ。(高木善之・落合眞弓)

●国民総所得(GDP)

安倍首相は「安倍政権 6年間で経済は確実に良くなった」と言っているが、本当は…

  • 成長率 2012年 1.5%、世界 136位 ⇒ 2018年 0.8% 世界 167位
  • 1人当たり所得 2012年 48632ドル、世界 15位 ⇒ 2018年 39306ドル、世界 26位
  • 安倍首相は「GDP 過去最高」と言っているが、小川淳也議員が「安倍政権は統計手法を変更したことによる」と指摘。統計でも、虚偽、すりかえ、ごまかしがある。

●賃金

★実質賃金(物価に対して)は -3.6%(16万円減)、主要国で日本だけ実質賃下げ

 2012 年  2013 年  2014 年  2015 年  2016 年  2017 年  2018 年
 各目賃金指数  100  99.7  100.2  100.3  101.0  101.4  102.8 
 実質賃金指数  100  99.3  96.6  95.7  96.5  96.3  96.4 

**安倍首相は「6 年連続賃上げ」と言っているが、各目賃金はサンプルを入替えることでプラスに見えるよう操作し、
 実質賃金は物価に対してマイナス成長だ。

●労働者

★長時間労働などで過労死、過労自殺で毎日 1人以上の命が奪われた
*精神障害(過労自殺等)は 1.4倍増。1257人(2012年)⇒ 1820人(2018年)
*過労死等(脳・心臓疾患)は、842人(2012年)⇒ 877人(2018年)

★安倍政権下非正規労働者 304万人増、非正規率 37.9%過去最高
*不安定な仕事のため、ネットカフェなどで暮らさざるを得ない「住居喪失者」増加

★安倍首相は、「若者就職内定率と有効求人倍率が最高」と言っているが、若年人口の減少で「売り手市場」なだけでアベノミクスの成果ではない上に労働条件は劣化

●逆に、大企業は大きな利益、内部保留(資本金 10億円以上企業)

大企業の経常利益 26兆円(2012年度)⇒46.3兆円(2017年度末)
★株主配当金 10.6兆円(2012年度)⇒ 17.5兆円(2017年度末)
★内部留保 273兆円(2012年度)⇒ 446兆円(17年度末) 6年連続で最高更新
*法人税は減税、実質賃金は増えず、企業が利益をため込む構図が続いている
*大企業の役員報酬は 2.9倍増

●物価と世帯の消費動向(世帯の消費支出の平均額の推移を示す指数)

★実質世帯消費動向指数は安倍政権の 6年間で 9.3%も落ちた
★消費者物価は消費増税と円安によって 6年間で 6.6%上昇

 2012年  2013年  2014年  2015年  2016年  2017年  2018年
 消費者物価  100  100.4  103.8  104.8  104.7  105.3  106.5 
 消費動向指数  100  101.2  97.5  94.1  91.7  90.8  90.7 

*アベノミクスで円安になり物価が急上昇し、そのうえ、消費税アップに賃金が追い付かず、庶民は貧乏に! 買い替えは当たり前!
*戦後最悪の消費停滞を引き起こしている!

●エンゲル係数(支出に占める消費の割合)

★安倍政権になってから食料品の価格は 10%以上あがり、エンゲル係数も急上昇

 2012年  2013年  2014年  2015年  2016年  2017年  2018年
 食料価格指数  100  100.0  103.6  106.8  108.7  109.4  110.0 
 エンゲル係数  23.5  23.6  24.0  25.0  25.9  25.7  25.7 

*食料の値上がり、同じ値段でも内容量が少なくなっていることを実感している。

●所得格差(ジニ係数=所得の不平等さを示す指標。0に近いほど格差は少ない)

★日本の再配分後所得(当初所得から税金と社会保険料を控除し、社会保障給付を加えたもの)のジニ係数は、34%で世界主要国 42ヵ国中 18位(OECD 2016より)

*OECD(経済協力開発機構)平均は 32%。北欧の福祉国家は 20%台

●相対的貧困率(2016年、国民生活基礎調査他)

★世界主要国の 42ヵ国中、日本は 14番目(15.7%)の貧困大国(OECD データ他)
★生活意識でみた「苦しい」の割合(2014年)
 全世帯 59.9% 高齢者世帯 52% 児童のいる世帯 62.0% 母子世帯 82.7%

★ひとり親世帯は過半数が貧困状態
★★日本は子どもの 7人に1人が貧困。OECD 36ヵ国中 24位(平均は 13.2%)
※相対的貧困率とは国民の所得順に並べ、その中央値の半分に満たない人の割合
 日本の場合、世帯所得が 122万以下の世帯割合

●貯蓄ゼロの世帯割合

★ 2012年 1361.2万世帯(27.9%)⇒ 2018年 1762.5万世帯(35.3%)
*20歳代 61.0% 30歳代 40.4% 40歳代 45.9% 50歳代 43.0% 60歳代 37.3%

●結論は、安倍政権の 6年は庶民にマイナス

  1. アベノミクスの目的はデフレからの脱出(物価上昇年 2%)であり、所得アップではない
  2. 大企業、富裕層への優遇税制の結果、貧困率は高くなり、格差は拡大