【地球は今…】地球温暖化(その1)
スウェーデンの一人の高校生、グレタさんの行動が世界の若者を動かし、いま再び「地球温暖化を止めよう!」という世界的な運動が始まった。彼女は涙ながらに世界の政治家や指導者や私たちに訴えた。「あなた方は分かったふりをしているのに何もしていない。私たち若者にどんな未来を残そうとしているのですか。私たちは何もしないあなたたちを決して許さない」と。そうだ。本当にそうだ。私たちは一体どれくらいわかっているだろうか。本当にわかっていたなら何もしないはずはない。私たちは、わかったふりをして何もしないだけではなく、真逆のことばかりしている政治家と何も変わらないのではないだろうか。今回、あらためてこの問題の基本をまとめてみようと思う。あなたにも、この問題を自分で話せるくらい理解してほしい。(高木善之・落合眞弓)
●地球温暖化とCO2濃度
★左下のグラフのように地球の平均気温と大気中のCO2濃度は比例している。
★CO2濃度は過去 80万年間 200~ 300ppm であったが、産業革命以降、化石燃料の燃焼とともに CO2濃度も気温も急上昇。
★CO2は毎日 1億トン排出、CO2の濃度は 415ppmに達した。
★地球環境は政治経済などの大きな利権に関わるから様々な意見があるが、多くの科学者は人為的な原因であることを支持している。
★地球の平均気温はすでに 1℃上昇しているが、今後も上昇を続け、今世紀末には更に 4.8℃の上昇が予想されている。
★地球温暖化はすでに環境面、生活面で大きな問題を起こしているが、今後さらに大きな被害が予想されている。
●世界的な異常気象による災害
洪水と豪雨の頻度は 1980年に比べて 4倍に! 世界のシステムは気候に対して脆弱である。このままでは 10億人に上る気候難民が生まれ、気候変動による混乱は政治的、社会的不安に繋がる。(ランセット・カウントダウン・レポートより)
★日本ではほぼ毎年、最高気温の更新。猛暑日(最高気温 35℃以上)、超熱帯夜(最低気温 30℃以上)が増加。政界でも日本と同様の状況
★人口の 31%が現在、死に至る可能性のある暑さに毎年 20日以上さらされている
★台風の数が増え、大きさ、強さが増大。豪雨、洪水が深刻化
海水温 27℃以上で台風が発生、28℃以上の海域が広いと猛烈な台風に発達する
★土壌の乾燥、干ばつ、砂漠化、水不足が深刻化、世界人口の 40%が水、食料不足
★大規模な森林火災が世界各地で増えている
★海洋の温度上昇と酸性化でサンゴの大規模な死滅。漁獲高にも大きな影響と打撃
●頻発する災害(これはほんの一部)
- 2018年 2月、北極点の気温が 28℃まで上昇。記録的な暑さ
- 2019年 7月、グリーンランドの氷床の 60%が融け、たった 1日で 100億トン以上が消滅
- 2019年 6月、インドで熱波による脳炎が大流行。 120人以上の子どもたちが死亡
- 2010年 5月以降、米国において 1000年に 1度クラスの豪雨が 17件発生
- 2006~2010年、シリアで干ばつ。60%の肥沃な土地が砂漠化し 150万人が都市に流入
- 2019年 7月、フランスの 80%の地域で水の使用制限。農家からの徴税を延期
- 2019年 5月、ジンバブエ国民の半分以上が、主に渇水が原因で食糧不足
- 2019年 5月、ソマリアの 540万人が継続的な干ばつにより食糧不足に直面
- 2019年 7月、ロシアでは今年に入ってから推定 1,200万haの森林が消失
- 2018年 7月、日本で洪水と土砂崩れで 225人が死亡。被害総額は 1兆円
- 2018年 7月、日本で観測史上最高の 41.1℃を記録。熱中症死亡 1,518人
- 日本では気温が 2℃上昇すると海水面の上昇により 1,800万人が住居を失う。
- グレートバリアリーフでは、過去 30年間でサンゴ礁の半分が失われた
※参考)クライメート・リアリティ・リーダーシップ・コミュニティの資料
解決に向けての世界の動きなど、次号に続く