【地球は今…】水問題(1)
地球は宇宙から見ると青く、「水の惑星」と呼ばれている。その水は、私たちの命をつなぎ、生活を支えている。
今回は世界の水問題について調べてみた。(高木善之、落合眞弓)
●地球上の水
*地球の水の量は約14億k㎥
*海水が97.5%、淡水が2.5%
*淡水は棚氷や氷山が70%、地下水が29%
*私たちが利用できる河川や湖沼の水は淡水全体の1%
*つまり、私たちが使える水は、地球上の水がバケツ一杯分とするとわずか1滴
*この貴重でごく少量の淡水を汚染すると、人類を含め多くの生物が絶滅する
●世界の水資源の状況
*世界全体では、すべての人の生存に十分な水量はあるが、
国によって水の流入量や水資源の分配に大きな差がある(国連開発計画)
*世界で6億6300万人の人が安全な水を手に入れられない
*汚れた水や不衛生な環境が原因で毎日800人の子どもが亡くなっている
*世界中で使用している水量は100年前の6倍に増加している
*近代になり重金属や化学物質、プラスチックなどで水は多く汚染されている
●水不足の原因
*人口の増加
*豊かな生活を支えるために水の使用量が急増
・人口増加の2倍の割合で水の消費が増加
・アメリカやEU、日本などの先進国は水を大量消費
*大規模な灌漑農業
・黄河やアラル海は上流域で河川水を大量に汲み出したため干上がった
・アメリカやインドでは地下水が枯れて農業用水が十分に得られないところもある
*気候危機による水循環の変動
・干ばつ、豪雨、洪水、氷河の後退、氷山の融解などで淡水の減少
●世界の水の利用用途
*農業用水が70%
*工業用水が22%
*残りの8%が飲料水、トイレ、風呂、洗濯、料理などに使う生活用水
●水の利権争い
*国際社会では河川は複数の国家間を流れているので、水の問題が国家間の紛争の原因となる
*お金の流れと水の流れはリンクしている。経済格差は水格差を生み出す
●仮想水(バーチャル・ウォーター)
「仮想水」とは、食糧や工業製品を輸入している国において、その食糧や工業製品を生産するとしたら、
どの程度の水が必要かを推定したもの
*日本は仮想水換算で世界最大の水資源輸入国
*貧しい国の平均的な水の消費は1人当たり10リットル/日
*日本の水の消費は、直接的な水の消費は1人当たり300リットル/日だが
*農業用水、工業用水の消費は1人当たり3トン/日、仮想水は1人当たり3トン/日
●今後の予測
*人口増加や新興国の経済成長に伴ってますます水需要が増加
*温暖化により、世界各地の雨の降り方が大きく変化し、乾燥化が進むところや洪水により水不足が進む
*2025年には世界の水使用量が約1.4倍。生活用水は約1.8倍にまで増大すると予測されている(1995年比)
*2025年には約28億人が、2050年には約40億人が水不足や水ストレスに直面
*塩害や化学物質汚染により、今後数十年で表層水の水質が悪化し、富栄養化の増大と、生物多様性の破壊をもたらす
*大規模の食糧不足で飢餓・貧困、格差が拡大
●私たちにできること
*事実を知ろう
*節水を心掛ける
*水を汚さない暮らしをする
*輸入品より国産品を選ぼう
詳しくは『宇宙船地球号のゆくえ』をご覧ください。 |