【地球は今…】森林は今(1)
温暖化による異常気象で、世界で大規模な森林火災が頻発し、生物にとってかけがえのない森林が消失している。森林の現状は? 森林の今後は?(高木善之、落合眞弓)
●森林の働き
- 多様な生態系の維持(生物の棲み家、水、食べ物の供給)
- 木材、キノコや山菜、薬などの物質生産
- 二酸化炭素と酸素を交換する。大気を浄化(光合成、地球の肺)
- 温度、湿度、大気の組成を保つことで地球の気候を安定させる
- 雨を降らせ、樹木と土が保水、ゆっくり川へ流れ込むなどの水循環と水源涵養(かんよう)
- 豊かな土壌を作るとともに、木の根が土をつかみ土砂災害を防止
●森林の働き
- 森林はその成り立ちによって、二次林、原生林、人工林に分けられる
- 原生林は、人の手が入っていない自然のままの森林。生態系として最も貴重
- 人工林は、人が植林して作った人工の森。生態系として最も貧しい
- 二次林は、人の手が入っているが、自然の力で維持している森林
●森林の現状
- 地球表面の 3割が陸地、7割が海
- 農耕以前は、陸地の半分が森林だったが、現在は 3分の1に
- 1990~2000年の間は、年間 1060万ha(北海道+四国の面積)が減少
- 植林しているが、それ以上の森林破壊が続いている(経済優先)
- 人工林は増えているが天然林、特に原生林は減っている
●森林の面積
●森林破壊の原因
★土地利用の転換
★温暖化、酸性雨、砂漠化などによる森林火災、洪水、地滑りなど
・オーストラリア、アマゾン、シベリアなど世界各地で森林火災が頻発
★経済優先をあげる政策の誤り
★違法伐採
★人口増加
●経済による犠牲
食材やバイオ燃料等の需要増加により、東南アジアでは森林を伐採して油やしのプランテーションへ、アマゾンでは森林をサトウキビやコーヒー農園、牧場へ転換して原生林や天然林を破壊している。
それらの森林破壊は私たちの生活に直結している。
たとえば・・・
★コンビニ商品の半分以上に使用されているパーム油の場合:
パーム油はアブラヤシが原料で、シャンプーやカップ麺、菓子などに使われだした ⇒ 複数の企業により、インドネシアの森がアブラヤシ農園へ ⇒ 農園の開発のために泥炭湿地の水を抜く ⇒ 泥炭は乾燥し燃えやすくなり、森林火災 ⇒ 燃失面積は昨年 159万ha(日本の天然林の 10分の 1以上)、CO2排出は 7億トン(日本の年間排出量の半分) ⇒ 環境問題だけでなく、児童労働や住民への影響など社会問題が発生している。 |
★一大ブームを巻き起こしたナタデココの場合:
今から 27年前、ナタデココのブーム ⇒ フィリピンでは熱帯雨林を切り拓いてココナッツの木を植え始め、新しい工場を建てて精製するために酢酸を垂れ流して生産増大をはかった ⇒ ブームは去り、酸性化した土地は使い物にならず、多くの失業者を生んだ。 |
★エビの消費が世界 1位の日本の場合:
マレーシアなどでエビを養殖するためにマングローブの森の破壊が始まる ⇒ 池に高栄養餌投与 ⇒ 水質、底泥の悪化で病気発生 ⇒ 抗生物質、化学物質投与を繰り返した結果、養殖池の汚染により生産量低下 ⇒ 養殖池を放棄、移転し破壊を繰り返す ⇒ 土地の巻き上げ、低賃金や過酷労働による搾取mさらには殺人事件等多発している。 |
●責任は私たちに
「どこからどのようにして作られたものか」「環境や社会への影響はどうか」を考えるグリーンコンシューマになることが私たちに求められている。
次回も森林破壊の原因を掘り下げ考えてみます。
※詳しくは、書籍report202004report202004をご覧ください。