【地球は今…】感染症と暮らし(3)
今回は、新型コロナの状況、感染を抑えた国と日本の違いをまとめてみた。(高木善之、落合眞弓)
●新型コロナウイルスの感染者数(9月7日現在、検査数は7月30日時点)
★世界で感染者2700万人(死者88万人)
★米国628万人(19万人)、ブラジル414万人(13万人)、インド420万人(7万人)
★日本は感染者7万4千人(死者1357人)
★日本のウイルス検査数(PCR検査)は未だに最低レベル(160ヵ国中150位)
●感染を抑えた国の対応
★コスタリカ
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国内で感染者が確認される2ヵ月前から、政府の緊急対策会合スタート
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感染者が確認されて10日後、大統領は「非常事態宣言」を発令
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担当の保健省大臣は伝染病が専門のドクターだった
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平和憲法を作り軍隊を廃止し、教育、医療、福祉に力を入れてきたからこそ、素早い対応で抑え込みに成功した
★キューバ
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ファミリードクター制度(100m毎に医者と看護師を各1人配置)1軒ずつ訪問診察
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院内感染リスクを低減し、感染予防だけで入院など強力な隔離策
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住民1千人に9人の医師(日本は2.6人)、コロナ病床数1万など充実の医療環境
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外貨収入6761億円の医療大国のキューバは世界37ヵ国に無料で医療支援
★台湾
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2003年のSARS感染の経験から、台湾疾病管制局を設置、感染症対策を強化
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副総統は公衆衛生の専門家、デジタル担当大臣に天才民間人を起用、対策強化
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昨年12月30日、情報をキャッチすると同時に、水際対策、隔離政策を徹底
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マスクの在庫の管理、全量買上げ、流通管理、計画的増産などを徹底
★ドイツ
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首相が国民を説得、情報発信、ウイルス検査を即座に大規模に実施
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充実した医療設備・・・集中治療病床の数は世界有数で、人口比で日本の6倍
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病院がパンク状態のイタリアやフランスからも重症者を受け入れ
★アイスランド
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一般市民を対象に無料のPCR検査でスクリーニング。検査率は世界で最も高い
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徹底的な追跡システムを導入し(利用率4割)、封鎖措置や学校閉鎖も回避
★北欧諸国
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ノルウェーは、学校や公共施設の閉鎖、スポーツや文化イベントの禁止などの封じ込め作戦に成功。ポイントは、国のトップが国民に丁寧に状況を説明。
もともと福祉制度があり、休業補償を実行。国民はそれを理解・納得、政府を信頼して行動した -
デンマークは、早期にロックダウンを行い、ITを活かした早急な経済支援などを実施。国民から絶大な信頼(支持率86%)を得た。
また、首相は、子どもたちからの質問にわかりやすく答える「3分間の記者会見」を実施 -
フィンランドは、世界最年少の女性首相が現状と対策を明確に説明。
緊急事態法を発令したが、これは防疫を目的とし危機的状況への例外的な対処であること、法治国家の原則を変えるものではないことを強調して説明 -
スウェーデンは他の国と大きく異なる政策をとった。
ロックダウンはせず、マスクの義務付けもせず、社会生活の維持を重視しながら感染予防をした。
その結果、他の国より感染率、致死率は高いが、国民は政府の方針を信頼・支持し安心している
●成功国とは対象的な日本
★習近平主席の来日、東京五輪がブレーキとなり対応が遅れ、あとあと問題を生んだ
★国のトップが陣頭指揮を取らず、経済担当大臣に任せる
★「経済との両立」と言いながら「経済優先」だった
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方針に一貫性がなく、行き当たりばったり、「やっている感」の演出
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「国難」と言いながら、厚生大臣が前面に立たず、行政、医療、保健所がばらばら
●新型コロナへの対応に高い評価を得た国に共通すること
★政府の早い対応、一貫した政策
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国のトップが陣頭指揮。情報公開と経過も含めた丁寧な説明責任を果たす
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政府の一貫した方針、ぶれない方針に、国民も安心感、信頼感
★充実した医療体制・医療関連物資や国民の意識の高さ
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国家として医療や教育を重視、経済優先ではなく福祉国家
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社会全体で支える意識と将来のビジョンが明確
★女性リーダーの存在・・・共感力・思いやり
女性のトップ(台湾、ドイツ、フィンランド、デンマーク、アイスランド、ニュージーランドなど)は真剣な取り組みで国民の共感と信頼を得て成功したのとは対照的に、トランプ大統領、ブラジルのボルソナロ大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領、ベラルーシのルカシェンコ大統領など独裁的な男性リーダーは国民の不安と分断を煽った。 福祉先進国は、ビジョンを国民に示して丁寧に説明、議論しているので、信頼と希望がある。比べて日本は情報が不透明。 |