【地球は今…】食べ物編 ~1パック98円の卵を買う?
私たちの体を作る「食べ物」についてシリーズで考えてみます。今回は肉や卵、乳製品の現状とその問題点を調べてみました。(高木善之、落合眞弓)
●日本人の1人当たりの年間消費動向
★卵は338個の消費。世界2位(2019年)
★食肉消費量は50年で10倍に
★魚介類は2001年には40 kgまで増加
★魚肉類は1960年31kgから約2倍の 57 kg
★牛乳は1994年34.7ℓをピークに2019年は25ℓに
★50年で主食の米は半減
※ベジタリアンなど肉を食べない人が増えている
年間1人当たりの消費量推移(農林水産庁「食料需給表」参照)
1960年 | 2013年 | |
鶏肉 | 1㎏ | 12㎏ |
豚肉 | 1㎏ | 12㎏ |
牛肉 | 1㎏ | 6㎏ |
魚介類 | 28㎏ | 27㎏ |
牛乳 | 10㎏ | 30㎏ |
卵 | 285個 | 330個 |
米 | 115㎏ | 57㎏ |
●肉を食べない理由
★環境問題を考慮して
- 温室効果ガスの14%は畜産関係から排出されている
- 飢餓貧困の人々が10億人もいる現状で、肉1kgを得るのに牛肉では11kg、豚肉では7kg、鶏肉では4kg、鶏卵では3kgの穀物が必要なのは考えさせられる
- 放牧のために、広大な面積の森林が開墾されている
★食肉の健康問題
- 健康には「低カロリー高タンパク」と言われるが、肉は脂が多く、高カロリー
- 飼育に抗生物質が使われ、健康への影響が懸念されている
抗生物質の多用の影響で耐性菌が増えている。
厚生労働省によると耐性菌による死者は年70万人を超し、2050年には死者が年1千万人に上ると推計されている
★日本はアニマルウェルフェアが守られていない
- アニマルウェルフェア(AW)とは、家畜やペットの生活の質を考慮した飼育方法
- 国際機関のAW指針「5つの自由」は、
①飢えや渇き ②恐怖や苦悩 ③不快な環境 ④痛み、傷や病気 ⑤正常な行動ができない、などが無く、自由であること
日本はAWの認識が低い。 消費者がどのようにして飼育されているのかに関心がなく“1パック98円の卵”を選び続けている限り、 |
●鶏、豚、牛の本来の生き方
★鶏の寿命は5~10年。本来は、広いスペースでえさを獲り、とまり木で眠り、安全な場所で卵を産み、砂を浴びて寄生虫や汚れを落とし、日光浴で健康を保つ
★豚は寿命は10~15年。本来は、広いスペースで群れで暮らす。
きれい好きで、排泄は離れた場所で行う。泥遊びで体についた寄生虫を落とし、日光浴で健康を保つ
★牛の寿命は20年。ひろい草原でゆったり過ごし、毎日6時間以上かけて約50kgの草を反芻しながら食べ、日光浴が必要
※日本の現状は、以上のような飼育方法の配慮とは程遠いものが多い
●日本の飼育の現状
★劣悪環境
- 採卵鶏の9割以上はケージ飼い(小さなケージに詰め込まれている)
- ブロイラー(肉用鶏)のほとんどは1メートル四方に16羽前後の過密飼い
- 豚はコンクリートの床で、1坪当たり2~3頭という狭い不衛生なスペースで飼育
- 母豚は年2.5回出産。方向転換も横も向けない妊娠ストールで8割以上が飼育
- 牛は室内で運動できない閉鎖的な畜舎で飼育
★ストレス対策として
- 鶏は、くちばしを切断
- 子豚の時に尻尾を切る(81.5%)、犬歯切除(63.6%)、麻酔無しの去勢(94.6%)
- 牛は、角を切り、去勢
- 新しい伝染病の危険が増大。ワクチン、抗生物質、抗菌剤の飼料への配合
★多く、早く、大きくがキーワード
- 採卵鶏は密室で昼夜照明をつけ、換羽期は絶食させて強制換羽し、産卵を促す
- ブロイラーは運動させず、濃厚飼料を与え通常の3分の1の50日程度で成鶏に
- 豚は、薬入りの配合飼料を与え、生後6ヵ月で110kgにまで太らせ出荷
- 霜降り牛肉は高カロリーの濃厚飼料を与え、運動させない
- 乳牛は12ヵ月から15ヵ月のサイクルで出産、搾乳が繰り返され6年弱で廃牛に
その結果、と畜場の検査で豚のおよそ68%、牛の80%に何らかの病変や炎症があり廃棄処分(と畜場で病気のために年間豚約1622万頭、牛約120万頭がと殺廃棄)
●海外では
★EUは豚の残酷な妊娠ストール(狭い檻)を禁止、鶏のケージ飼いも禁止
★欧米では日本のような飼育方法は廃止・禁止の方向
★コストコやマクドナルドなどのような大手の小売や外食なども、ケージフリーの卵に切り替えると宣言。ただし、日本のコストコやマクドナルドでは従来のまま( ;∀;)
食べ物がどこでどのように育てられたかを知り、倫理的選択ができる消費者になろう! |