【地球は今…】火山と地震と原発
地震大国の日本。火山も密集している。それなのに、原発の稼働をすすめようとしている政府。今回は火山を中心に原発の問題も考えてみた。(高木善之、落合眞弓)
●地球内部の構造
★中心から内核(固体金属)、外核(液体金属)、下部マントル、上部マントル、その上が薄い地殻(大陸地殻・海洋地殻)
★マントルは粘性の高い高温の液体で、ゆっくりと対流して大陸を動かしている
●火山とは
★上部マントルの一部が溶け出して地殻を突き破って噴出する。マントルの溶け出したものをマグマという
★地上の火山だけでなく海底火山もある。
ハワイのマウナケア火山は海底からの標高は10.203mでエベレスト山(8.848m)より高い
★火山の半数以上は、地震が頻発するプレート境界部の環太平洋火山帯に集中
★以前は活火山、休火山、死火山と分類されていたが、地質学的に「火山に活動休止はない」ということがわかり、いまでは死火山、休火山はないとされている。
現在、日本の火山は活火山(111)で、富士山も活火山である
●世界の火山分布
★世界の活火山は1500を超える。日本(111)は世界有数の火山国
●火山の恩恵
★溶岩や火山灰は、地上にミネラルや栄養をもたらし土壌を豊かにする
- 豊かな土壌と、適度な降雨のおかげで森や農地の生産性が高い
- 川から養分が流れ出して近海が改装や魚介類に満ちている
★金、銀、銅、亜鉛、スズなどの金属資源を地球内部から産出
★火山体内部は多くの水を蓄えられ湧水や地下水を生活や産業に利用
★火山活動によって造られた起伏に富んだ地形や造形部は観光地になる
- 全国に28地域ある国立公園の中で18地域は火山が含まれている
★火山の熱によって生まれる温泉や地熱の利用(地熱発電など)
●火山の脅威
★噴火による火砕流、降灰、有毒ガスなどで多くの命を付しない、いくつかの文明が消滅
- 古代ミノア文明~ギリシャ・クレタ島で栄えたがサントリーニ島の噴火で弱体化
- ポンペイの悲劇~ヴェスヴィオ火山の噴火で1万人の都市が一晩で消えた
- 南九州の初期縄文人~鬼界カルデラの大噴火で絶滅
- 富士山三大噴火
延暦の大噴火(800~802年)関東ローム層は富士山の火山灰が主体の土
貞観大噴火(864~866年)湖に大量の溶岩が流れ、青木ヶ原珠海ができた
宝永大噴火(1707年)~宝永地震の49日後に始まり、完全復興まで90年
●日本の地震と火山
★自信と噴火は繋がっており、日本の地殻は不安定な状態が続いている
★阪神淡路大震災(1995年)以降、鳥取西方地震(2000年)、新潟中越地震(2004年)とM6.8~7クラスの内陸直下型地震。
東日本大震災(2011年)はM9.0でプレート境界型地震。
それ以降、熊本地震など地震が次々と起きている
★雲仙岳(1991年、1993年)、三宅島(2000年)、浅間山(2004年)、小笠原諸島西島(2013年)、御嶽山(2014年)、口永良部島(2015年)などの噴火が続いている
●原発
★原発には巨大地震、巨大津波、巨大噴火に対する安全基準は存在しない
★例えば、桜島に近い川内原発は、九州電力は「噴火の全長があれば、核燃料を搬出し、住民を退避させる」というが、噴火予知は不可能であり、搬出には時間がかかる。
大惨事を二度と起こさないために、原発は推進してはならない
「日本には資源がない」と言われるが、江戸時代、鎖国政策で200年以上続いた自給自足の経済は、 火山がもたらした豊かな土壌と、適度な降雨のおかげだ。火山はときには脅威になるが、暮らしを支えてきた。 過去から学び、失敗を繰り返してはならない。危険すぎる原発の存在は許されない。再稼働ではなく廃炉を。 |