環境情報

【地球は今…】温暖化(1)~気候危機のリスク

温暖化による気候変動が拡大したことで、最近では「気候危機」と呼ばれ、世界各地で深刻な影響や被害が出ている。「気候危機」の現状と、私たちの暮らしや意識について調べてみた。               (高木善之、落合眞弓)

地球温暖化の脅威「気候危機」
気温の変化は約10万年という自然のサイクルの中で起きてきた自然現象だったが、この100年間で温暖化が急激に進み、世界の平均気温は産業革命前よりもすでに1℃上昇。かつて経験したことがない気候危機が世界各地で発生するようになった。

世界の近年の異常気象
629日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州で49.7℃を記録、296人が死亡
79日、アメリカのデスバレイで54.4℃を記録
7月、ドイツとベルギーを襲った豪雨で200人以上が死亡、1000人が行方不明
7月、中国の河南省で1000年に一度の豪雨で大規模な被害
*零下67℃を記録した「極寒の町」シベリアのベルホヤンスクは最高気温38℃を記録
*北極圏の各地で30℃以上の異常事態
*米西海岸では近年、高温と乾燥、熱波により「史上最大の山火事」が発生
*マダガスカルでは厳しい干ばつによって100万人以上が食料不足。飢餓が深刻化
*日本でも、記録的な大雨、暴風などで西日本から東日本にわたり甚大な被害
73日、熱海市で集中豪雨と大規模な土石流が起きた(死者・行方不明者27名)

https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/ann ual/index.htmlより

●気候変動の8つの主なリスク(IPCC 第2作業部会報告書)
1. 海面上昇・高潮 (沿岸・大小さまざまな島がある地域) 
高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク
2. 洪水(大都市)
大雨による下水や河川の氾濫により、人々の健康障害や生計崩壊のリスク
3. 台風など
インフラ機能停止、電気供給や医療などサービス停止
4. 熱波
熱波による死亡や疾病などの健康被害、森林火災  
5. 食料不足
気温上昇や干ばつ、バッタなどの異常発生による食料不足や食料安全保障の問題 
6. 水不足 
水資源不足と農業生産減少
7. 海の生態系の損失  
海域の生態系、生物多様性への影響
8. 陸の生態系の損失
陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失
●温暖化の大きな責任は
★世界全体の二酸化炭素排出総量は335億トン(2018年)
70%近くは、日本を含めた十数ヵ国からの排出が占めている。
中国28.4%、米国14.7%、インド6.9%、ロシア4.7%、日本3.2%
★一人あたり排出量は、先進国は途上国の3倍
●深刻な被害を受けるのは
★発展途上国の人々は、排出量は少ないのに深刻な被害を受ける
★温暖化は環境問題であると同時に、貧困や格差の問題でもある
●日本人の気候変動意識は世界と大きく違う 
★対策は、多くの場合生活の質を脅かすものである 世界平均26.75% 日本60%
★対策は、多くの場合生活の質を高めるものである 世界平均66.24% 日本17%
★気候変動の影響をとても心配している    世界平均79%  日本44%
(世界市民会議2015年6月実施調査より)

世界で気候危機が叫ばれていても、調査で日本人は温暖化に関する危機意識が低く、対策もネガティブなイメージを持っていることが浮き彫りになった。このような日本の傾向は、日本政府が2020年の温暖化目標を、東日本大震災を理由として大幅に引き下げ、国内での温暖化に対する議論に水をかけてきたことが影響しているのではないか。 ⇒ 次回は日本の新たなエネルギー計画について考えてみよう。