環境情報

【地球は今…】温暖化(2)~日本のエネルギー計画

地球温暖化についてIPCCの第6次報告はさらに厳しい未来を示している。
日本のエネルギー基本計画案を見て対策を考えよう。  (高木善之、落合眞弓)

・世界のCO2排出量と推移
CO2濃度は産業革命までは280ppmだったが、現在410ppmで約1.5倍!
★産業革命以降、加速度的に増加し、2018年の排出量は世界で335億トンその70%は日本など十数ヵ国が排出
1位中国28%、2位米国15%、3位インド6.9%、4位ロシア4.7%、5位日本3.2
1人あたり排出量は、先進国(OECD)は途上国(OECD)3
★日本の1人あたり排出量はアメリカ、韓国、ロシアに次いで世界4位、世界平均の2

・IPCCの第6次報告
★今回初めて「気候変動は人間活動が原因である」と断言した
★大気、海洋、雪氷圏および生物圏において広範囲かつ急速な変化があらわれている
★異常気象は凶暴化し、より速いスピードで悪化している
20102019年の平均気温は、18501900年の平均より1.1℃上昇している
★温室効果ガスの排出量のシナリオでは、世界の平均気温は非常に少なく抑えた場合1.5℃、少なく抑えた場合2℃、排出し続けた場合4℃上昇すると予想
★「50年に1度の酷暑」は、現在はすでに5倍に増えたが、今後1.5℃上昇すれば9倍に、2℃上昇すれば14倍に、4℃上昇すれば40倍に増える (想像してごらん)
★たとえ今、世界のCO2排出量がゼロになっても、地球温暖化は止まらない
★数百年から数千年にわたって異常気象は続き、海面水位は上昇し続ける

・予想されるリスク
★世界規模で、豪雨、干ばつ、洪水、熱波と大規模森林火事、巨大台風が多発
★インフラと生態系が破壊、農水産物の収穫が激減
★各国が食糧輸出ストップ、日本はまっさきに飢餓に陥る
★マラリアなど熱帯性の感染症、新型感染症などの世界的パンデミック
★食糧、水、資源の奪い合いで世界各地で紛争、戦争

IPCCの報告書は、多くの専門家が14,000本の論文を重ねて検証して問題点を確認し、きっちり対応をして公開している。以前、「温暖化はあやしい。IPCCの報告書はあやしい」という意見があり(クライメート事件)、さらに検証を強化した。

日本政府の説明も政策決定も、こうした検証プロセスが欠落している。

   IPCC第 6 次評価報告書概要http://www.env.go.jp/press/109850/116628.pdf

日本のCO2削減目標
2050年の目標は「80%削減」から「実質ゼロ」に変更(202010月)
2030年の目標は、諸外国は軒並み50%以上削減だが、日本は26%削減から46%削減、さらに50%を目指すと変更(20214月)
※菅政権が変更を発表したが、実際は何も変わっていない。裏付けもない。

・第6次エネルギー基本計画()
★目標は変更したが、中身は以前と変わっていない
★目標値からはかけ離れ、実現にはつながらない

  2019年実績  2030年目標案
再エネ 18% 36~38
原子力 6% 20~22
石炭 32% 19%
LNG 37% 20%
石油等 7% 2%
水素 アンモニア 1%


・電源構成について
★原子力は現状は6%、目標は2022%。これは原発の増設、築60年を超える原発の稼働を意味し、世界に逆行、国民を裏切る。
★再エネの目標値(3638%)は欧州各国や米国の先進州の現状レベルと同じ。欧米の2030年目標 5070%とは大差
★石炭火力は2030年までにゼロを求められているが、日本はいまだに新設

福島第一原発電事故から10年。東日本全体が壊滅する恐れがあった大惨事を経験しても原発を使い続けるとするこの計画案は、原発新設や老朽原発の再稼働をしないと達成できない。政府には「原発低減」の公約に反して、次世代型と称する原発の新設や築60年の老朽原発も再稼働させようとする動きがある。次の選挙では、本気で「二酸化炭素削減」と「脱原発」を進める政治家を選ぼう。

・未来の社会ビジョンを大きく変えなければならない
★大量生産、大量消費、大量廃棄の社会、経済成長、便利快適⇒スローライフ(少量、多様性)
★物質的なものを幸せのシンボルとする価値観、競争、出世、お金
⇒生きがい、やりがい、助け合い、協力、安心
★自然エネルギー、再生可能エネルギー100
★公共交通、シェアリング、リユース、再資源化、非消費
★ゆくゆくは 自給自足、お金のいらない国  (◠_◠)  

※第6次エネルギー基本計画(案)に対する意見募集(締切 10/4)⇒ https://onl.tw/fCg6Kf4