『地球村』のスタンス

腸内細菌(2023.02.02)

★腸内細菌

  • 私たちの腸内には千種類以上の細菌が住んでいて、その数は1000兆と言われている。重さは合計で2キロもあり、其の働きはこれまで考えられていたことより遥かに重要、遥かに大きな可能性を持っていることがわかってきた。
  • 腸内細菌は常在菌と呼ばれているが、誰の腸内にも同じものが同じように存在、同じことをしているわけではない。人によって違い、様々な影響を与えている。
  • その一つは、昔からわかっていたことで、食べ物の分解であり、私たちが消化吸収できないものを私たちが消化吸収できるものに分解してくれる。もし腸内細菌がいなければ私たちは生きられない。例えばコアラの腸内細菌はユーカリの毒を分解して消化吸収できるものに変えている。パプア・ニューギニアのある部族はタロイモを分解し、筋肉の元にすることかできる。特定の地域で特定の物を食べることで、そこに最適化された腸内細菌叢が作られるのだ。その宿主は、その腸内細菌が分解できる食べものを食べ、それに適した生活をしていると考えられるようになってきた。
     私たちの食べ物の好みや、生活スタイルは腸内細菌にコントロールされていると言える。

  •  この腸内細菌は、赤ちゃんはお産のとき、産道でお母さんから受けとるが、帝王切開ではそれができないので、最近は帝王切開の場合は母親の腸内細菌叢を別の形で新生児に移植している産院もある。その後、母乳や離乳食で次第に腸内細菌叢(そう)が出来上がっていく。

  • 腸内細菌は食べ物の分解だけではなく、より重要な働きをしていることがわかってきた。
  • 例えば、これまで『難病』とされてきた『潰瘍性大腸炎』を発症する人は、腸内細菌の多様性が失われていることがわかった。そこでいったん薬品によって腸内細菌を死滅させ、健康な人の腸内細菌叢の溶液を注入することで、7割の人に改善が確認された。
  • 他の難病やガンにもこの研究が生かされる可能性が出てきた。
  • 人柄や性格に関することも腸内細菌に大きな影響を受けていることもわかってきた。腸内細菌に修正を加えることで、性格を変えることができる。
  • その方法は、膨大なデータを統計的に処理し、どの腸内細菌が何に影響を与えているのかを分析し、腸内細菌を修正するために、正常な腸内細菌のエキスを移植する。
    それを文字通り『便移植療法』という。
  • 『便移植療法』は近親者ほど効果があり、はらに親子よりは兄弟が効果が高い。これはまるで骨髄移植とも似ている。また『便移植療法』は若い人ほど効果が高いなど、日進月歩で進歩しているとのこと。 これまでは原因がわからない、治療方がわからない難病に大きな光がさしたといわれている。