巻頭言

【巻頭言】エコ・スフィア 再び

エコ・スフィアについて書くのはこれで3度目です。
エコ・スフィアとは、密閉されたガラスの球体(スフィア)の中に海水と空気が入っていて、その中に数匹のエビが生きているのです。
密閉されているのに、エビが生きているというのは驚異です。
球体の中の空気は、海水の中の海藻の出す酸素とエビの出す二酸化炭素が循環しています。さらに、エビが生きているのはエサがあり続けるからですが、エビが海藻を食べ、エビの排泄物を海水中の微生物が分解し、その養分で海藻が育ち、その食物連鎖ですべてが生存しているのです。
そして、その生命維持装置のエネルギーを太陽光が供給しているのです。
まさに驚異の地球モデルなのです。 (エコ・スフィアはNASAが開発しました)

これを最初に見たのは学生時代でした。
デパートのおもちゃ売り場で見つけて、「密閉された世界でエビが生きている!」というショックと同時に、「ああ、これは地球と同じだ!」と大きな感動を受けたことを、40年以上たった今も鮮明に覚えています。

それから30年たった2002年、スミソニアン博物館(ワシントン)でこれを見つけた時、とても嬉しくてすぐに買い、自分の手で大切に持って帰りました。
長い間、『地球村』事務局の応接室に大切に飾られ、来る人に驚きと気づきを与え続けてくれていました。その間、最初は4匹いたエビも一匹ずつ死に、最後のエビは3年間一人ぼっちでしたが、そのエビもついに昨年の秋に死んでしまいました。
7年以上、エビとしては記録的な長寿を全うしたのでしょう。

さびしくて、また入手できないかと探していると、米国のサイトで見つけることができ、すぐに注文して先日届きました。
以前のエコ・スフィアは直径10.2センチ(0.5kg)でしたが、今回は最大サイズのもので、なんと直径22.9センチ(6.2kg)もあります。以前は、エビは4匹でしたが、今回はエビが40匹。重さも容量もちょうど10倍のビッグなエコ・スフィアです。
かなり大きいので、じっくり眺めていると多くの気付きがあります。

宇宙から地球を見る体験を「宇宙体験」と言います。「宇宙体験をした人は人生が変わる」と言われますし、実際、多くの宇宙飛行士は人生観が変わります。
私も交通事故で宇宙体験をして人生観が大きく変わりました。
エコ・スフィアを眺めていると、宇宙から地球を見るような体験ができます。
事務局にお越しの際には、ぜひあなたも宇宙体験をしてください。