巻頭言

【巻頭言】原発を継続したい事情

原発の問題点について前月号でまとめましたので再読ください。
または、「5分で分かる!原発がいらない理由」をごらんください。
 
★驚くような実態
①原発は安全
②原発は安い
③原発は二酸化炭素を出さない。原発は温暖化防止に最適
④原発がないと電力は足りなくなる
原発を巡るさまざまな「定説」「神話」はすべて崩れた。
これらはすべて原発政策、つまり原発推進の仕組(巨額の原発マネーが地域を支配する仕組み)と推進キャンペーンだった。
 
原子力安全委員会、原子力安全・保安院などの実態は、名称とは異なり、業界を保護し、原発を推進するための機関であったこと、原子力の問題点や事故隠し、危険隠しの努力をしてきたことが明らかになった。
電力業界や原発を管理、コントロールするはずの政府や経産省が、逆に電力業界に管理、コントロールされていたことも明らかになった。
今回のような大事故には、政府も業界も無力であること、国民も被災地域住民も、「自分を守るのは自分しかない」ということを思い知らされた。
 
★いまも危険な現状
福島原発の事故はいまだに収束せず、汚染水処理もトラブル続き。
現地では余震が続き、各地で大地震(M7級)が起こっている。
いまの無防備な福島原発が大地震に直撃されたらひとたまりもない。
全国の原発も同じ危険(大事故)が起こりうる。
最近になって、ついに政府は「事故の収束には数十年かかる」と発表。
一方では、「定期点検中の原発の再開」を企てている経産省や業界。
一体、何を考えているのか。
菅総理の迷走ぶりが非難されているが、「原発」については、
菅総理はまともな発言をしているのではないだろうか。
 
★「脱原発」は急務
安心できる未来を考えると、「脱原発」は絶対に必要である。
しかし、それを「いま」やらなければ、「いつ」なのか。
もっと悲惨な大事故が起こってから?
しかし、「原発再開」に向けて、官僚(経産省)と業界、マスコミの宣伝はすさまじい。まさに、これが原発推進のトライアングル(利権集団)なのだ。
「電力不足では、被災地の復興もできない」
「製造業が海外移転で日本は空洞化する」
「原発がないと、大停電が起こる」
日本人は、こういう言葉に弱い。
 
★原発マネー
なぜ、国も企業も、それほど原発を継続、推進しようとするのか。
それほどに原発マネーの威力は凄い。
資源エネルギー庁のモデルプランを紹介しよう。
原発一基に対して交付金は、
①調査期間は年5億円(5~10年)
②建設期間は年70億円から徐々に減って行く(5~10年)
③稼働期間は年20億円(40年間)
これに加えて、④建設による経済メリット ⑤固定資産税 ⑥電源三法交付金 ⑦燃料課税 など、総額2000億円、年平均40億円の収入になる。
 
★ある原発立地の町の現状
人口2000人の自治体にとって毎年40億円の原発マネーは、住民1人当たり毎年200万円。10億円規模の「ヘルスセンター」「保養所」「市民交流センター」「ゴルフ場」「温泉スパ」「体育館」「音楽ホール」が次々作られた。原発立地のある小さな自治体の例をとると、ある施設は年間維持費は5千万円かかるのだが、入場料が100円だから年間収入は50万円ほどしかなく、維持費5千万円の1%しか賄えない。99%は赤字だが、湯水のように使える原発マネーがあるのだ。しかし、原発マネーは徐々に減っていく仕組みになっているから最後は底をつく。しかし麻薬中毒と同じで、あとには戻れない。必然的に、自治体と原発企業は次の手(2号機、3号機の建設計画)を立てる。だから「脱原発」はたやすいものではない。
 
★巨額の原発マネーは電力価格に含まれてこなかった
「1kw当たりの電力価格は、太陽光50円、火力10円、原発5円」という公表だが、原発マネーを含めれば20円を超える。