環境トピックス

【環境トピックス】東電VS社員:原発賠償で対立深刻化

4月15日毎日新聞

福島第一原発事故の賠償を巡り、東京電力が先月26日までの1カ月間で新たに6件、国の原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)が提示した和解案を拒否していることが分かった。すべて東電社員と家族の申し立て事案で、訴訟に発展したケースも先月だけで2件ある。他の社員も提訴を検討している。

関係者によると、東電が和解拒否し、手続きが終結した件数は3月26日現在21件ある。すべて社員や社員の家族への賠償を命じる和解案を東電が受け入れなかったためだ。

東京地裁のケースは入社4年目の若手社員で、事故後避難し、楢葉町にある社員寮に戻り、仕事を続けた。11年10月に、環境に適応できず、鬱状態や不眠に陥る適応障害と診断された。10月末、やむを得ず福島県いわき市のアパートに転居したが、東電は原発ADRの中で、「いわき市に転居した段階で避難は終了している」と主張し和解を拒否した。男性は、「声を上げられない他の社員のためにも、責任を認めさせたい」として提訴を決意した。

労使の対立とも言える構図だが、東京電力労働組合の動きは見えない。東電労組は取材に対し「賠償は個人の問題なので組合として会社と交渉する予定はない」としている。