5分でわかるエネルギー問題
◆世界のエネルギーの現状
・化石エネルギー(石油、石炭、天然ガス)
先進国の経済や生活は、化石エネルギーに依存しており、化石燃料は何億年もかかってつくられた有限の資源であり、あと数十年で枯渇すると言われています。
しかし年々消費が増加、途上国も経済拡大をめざし、枯渇がさらに早まることは確実になってきています。
埋蔵量の少ない産油国はあと20年で原油資源の枯渇が見込まれており、その 時産油国(OPEC)は大幅に輸出削減に走ると見られており石油に過剰に依存している世界経済の崩壊は避けられない状態になっています。
さらに化石エネルギーの大量消費で二酸化炭素が急激に増加し地球温暖化が進行異常気象、海面上昇、洪水、食糧不足、環境難民増加など深刻な問題が発生するという事も考えられます。
「二酸化炭素排出量を早急に60~80%削減の必要あり」(国連 IPCC報告)
・原子力エネルギー
チェルノブイリ事故、福島第一原発の事故を経て、先進国の多くは政策転換をしています。
詳しくは、世界は脱原発へをご覧ください。
・水力エネルギー
大規模ダム開発は自然環境に与える負荷が大きく経済性にも疑問、先進国の多くは政策転換し、ダム撤去や途上国のダム建設支援からすでに撤退しています。
また主に河川の水流をそのまま利用する小規模 (地域的)水力発電を欧州や中国は推進しています。
・自然エネルギー
- 風力エネルギー
無尽蔵な資源だが、安定供給のための設置場所が限られる、ドイツ、デンマーク、アメリカなどで発電施設が急増 - バイオマスエネルギー
木材、家畜のふん、生ごみなどを発酵させて発生するメタンガスなどを利用して発電、熱も地域暖房などに利用 (コージェネレーション)スウェーデンやドイツで普及している - 太陽エネルギー
効率が悪く大規模発電は難しいが、補助的小規模用途に有効カリフォルニア州は太陽熱発電、ドイツなどは太陽光発電を推進 - 地熱エネルギー
火山からの水蒸気ガスを利用した発電がフィリピンやニュージーランドで広く利用されているが、火山国に限られる
⇒いずれの自然エネルギーも現状の石油や原子力のような大規模なエネルギー供給は不可能で、小規模で地域的なエネルギー供給に限られる
参考:エネルギー経済統計要覧(省エネセンター)
◆欧州のエネルギー政策
これまでのエネルギーの大量消費を根本的に見直し、化石燃料、原子力から自然エネルギーへ転換。エネルギー消費の削減を進めている。
・スウェーデン
炭素税など導入により化石エネルギーは半減、自然エネルギーが全体の4割を占めています。
2050年には化石エネルギー消費を半減させ、大部分を自然エネルギーにする予定です。
・デンマーク
自然エネルギーの利用を拡大(風力発電は15年間で 100倍に)することによって、エネルギー自給率5%(70年代)から、現在は自給率110%にまで引き上げました。
さらに今後30年でエネルギー消費を2割削減し、自然エネルギーは全体の1/3にする予定です。
・ドイツ
電力消費を押さえ、脱原子力、脱石油を実施しています。
風力はすでに世界一の発電量を誇り、 フライブルグ、アーヘンなどの都市は自然エネルギーでエネルギー自立都市を目指しています。
・フランス
電力消費ピーク時の料金を11倍にして消費量を抑制する対策をとっています。
◆日本の現状
エネルギー消費は過去 40年で10倍増加し自給率は世界最低。
さらに今後もエネルギーの消費増加の見込みです。
それに対して原発は世界の1割(約50基)が稼動中で、原発推進法が 2000年に成立し、さらに2010年までに13基の増設計画です。
さらに建設中、建設予定のダム計画は約380基あります。
プラスチックもいっしょに燃やすごみ発電(RDF)を推進しており新たなダイオキシン汚染の増加が心配されます。
これらのエネルギーに対して自然エネルギーは 1%未満で、拡大する政策も今のところありません。
このような状況で、石油が削減されると大パニックなることが予想されます。
電気、自動車、物資や食糧の輸送など経済、生活のすべてに大打撃与え日本の農業は化学肥料、農薬、機械化に頼っているので石油の削減は致命的なダメージになります。
最終的には エネルギー消費の削減、自然エネルギーへの転換と大量消費、大量廃棄の生活や経済を根本的に見直すことが急務なのです。
◆できることからはじめよう
- 自動車の使用を減らす、アイドリングをやめる
- 節電、節ガス、省エネ(環境家計簿をつける)
- 4R(やめる、減らす、再利用、リサイクル)が基本
- グリーンコンシューマになる
思うだけではなく、できることから始める、意思表示する、行動する - 一家団らんの機会を増やす(家族一緒に生活するとエネルギーは数分の一に)
- ぜいたくを減らす(ぜいたくはエネルギーの過剰消費)
- 自然エネルギーの推進を行政に意思表示、エネルギーも自給自足へ
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環境先進国では、原子力発電は廃絶の方向です。
オランダ、スウェーデンは国の方針として全廃しました。
ただし、日本は新たに20基以上の増設を計画中です。
原発の事故が起きた時の損害額は、国家予算の2倍、被害者は400万人
と試算していました。
東日本大震災による原発事故は、それを超える可能性があります。
さらに、大規模な電力不足が予想されています。
科学技術庁(現、文部科学省公表データ)
石油や石炭、天然ガスは初めから地球にあったものではありません。
これらのエネルギー資源はあと数十年でなくなる、といわれています。
エネルギーがなくなると、現代の社会は成り立ちません。
日本のガソリン価格は、飲料並みかそれより安い現状です。
日本のエネルギー事情やそれにともなう温暖化の現状をさぐります。
クーラー、マイカーの使用など、身近な所から見直しましょう。
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