地球は今

【地球は今...】砂漠化対処条約会議COP10に参加して

日本では全く報道されていませんが、10月に隣の国、韓国で「砂漠化対処条約締約国会議COP10」が開催されました。

日本からの参加者がほとんどいないこの会議に参加しましたので、その様子などを報告します。

(事務局 渡辺 裕文)

●砂漠化対処条約(UNCCD:United Nations Convention to Combat Desertification)とは?

1992年のリオ地球サミットで「気候変動枠組み条約(UNFCCC、温暖化防止条約)」「生物多様性条約(UNCBD)」と一緒に設置が決まった三つの条約の一つです。

砂漠化は、「土が劣化し、生き物がいなくなる」ことであり、この条約名には英語で「COMBAT=(砂漠化と) 戦う」と書かれていますが日本では関心が低いので、それを「対処」と翻訳しているなど、印象が弱くなってしまっています。

今回、この条約の第10回目の会議が10月10日から21日まで韓国の昌原(チャンウオン)市で開催されました。

世界的に砂漠化防止の政策を実施するために、2010~2020年が「国連砂漠化対処の10年(UNDDD:United Nations Decade for Deserts and the fight against Desertification)」と決められています。

●砂漠化対処条約で示されている世界の共通認識

・地表の約半分(41%)を占める乾燥地に世界の3人に1人
(24億人)が住み、その半数(12億人)は世界で最も貧しい。

・私たちの食料の44%、家畜の50%を乾燥地で生産。

・乾燥地で農業を行なっている人は26億人。

・農業を行なっている土地の52%は土壌劣化(砂漠化)が進行。

・すでに15億人の人が土壌劣化(砂漠化)の悪影響を受けている。

・毎年、干ばつと砂漠化で1200万ヘクタール(日本の国土面積の約3分の1)が失われ、その結果、毎年2000万トンの穀物が減収。

・熱帯林と亜熱帯林の42%は乾燥した森林。世界の生物多様性の大部分は乾燥地帯の森林で維持されている。

※「砂漠化」とは、「土壌劣化」、ひいては「食糧問題」につながります。その主な原因は先進国中心の経済活動(地球温暖化、過放牧、過開墾など)です。その過程で人口爆発が起きて、更に砂漠化に拍車がかかる悪循環になります。

●今回のCOP10の成果

今回参加して、地域ごとに行われていた砂漠化防止の取り組みが、全世界的に展開していくためのとても重要な会議であったように感じました。

・砂漠化防止に有効な事例や取り組み、知見を集め、より効果的な成果を出すために主催国である韓国の提案で「ランドフォーライフ(生命の大地)賞」の設置が決定しました。

・砂漠化対処条約の科学者会議(温暖化防止条約のIPCC、生物多様性条約のIPBESにあたる)の設置を検討することが決まり、一歩前進。
他の2つの条約に比べて遅れているのは、日本やアメリカなど先進国が砂漠化対処条約に対して、積極的でないことが原因です。
今回の会議に日本から参加している官僚はたった3名、政治家はいません。

●会議で行われたユニークな取り組み

・ペーパーレスを目指した取り組み

会議の参加者には、タブレット型のPCが配布されて、必要な書類はすべてサイト上にアップし、PC上で確認できるようにしていました。

これまで国連会議に参加するたびに莫大な書類の消費が気になっていましたが、今回は、紙の使用が最も少なかったです。

これは、韓国政府と韓国企業(サムスン)の協働の取り組みです。

・会議時間の短縮

首脳級会合が行われるときに各国政府が自国の主張をスピーチする時間があります。

主要な国以外の発言は大部分の参加者が聞いていません。

今回はUNCCD議長の提案で、そのスピーチを無くし、全員参加型で意見交換するようにしていました。

●韓国の環境への取り組みを知り、驚いたこと

・会議の議長である韓国の環境大臣は、博士号を持つ環境の研究者で、英語で司会を行なっていました。

対話には、専門的な知識があり、英語力はもちろん国際的な知識を持つ大臣が必要です。

昨年、名古屋で開催された生物多様性条約COP10では、英語も話せず、内容も理解できていなかった日本の環境大臣が情けなく思えました。

・開催地チャンウオン市は、2020年に、世界の環境首都(Environmental Capital)になるためにかなり広範囲のビジョンを上げ、取り組みをはじめています。

大気汚染の軽減、水環境の整備、都市緑化(緑地帯の整備)、公共交通手段(バス)や自転車利用促進、ゴミゼロ目標、再生可能エネルギーの利用促進、環境教育の推進など。

市が運営する共有自転車のシステムで市民が自転車を自由に使えるようになっていたり、会場から見える家の屋根に太陽光パネルが多数設置されていたり、生態系に配慮した(近自然な)護岸整備が実施されていたりと、いくつもの取り組みに、本気で世界の環境首都を目指していることがよくわかりました。

これほど広範囲な取り組みをしている日本の自治体は無いと思います。

今回、国連や韓国の取り組みを知り、あらためて日本の不甲斐ない現状を痛感するとともに、『地球村』としても砂漠化防止に力を入れていきたいと思っています。

※『地球村』は、アフリカの砂漠化防止として、故ワンガリマータイさんのグリーンベルト運動、国連UNHCRのザンビアでの緑化運動に支援をしています。