地球は今

【地球は今…】憲法について

憲法を変える必要はあるのか? 安倍政権は憲法改正を進めたい。
今回は、憲法のこと、そして改正の問題点を整理してみた。 (高木善之・落合眞弓)

●憲法とは

憲法は国の最高法規であり、国家の基本であり、国がやるべきこと、やってはいけないことを定めている。
法律(刑法、民法など)は国民が守るべきものであり、憲法は国家権力、政治家、公務員が守るべきものである。
憲法は政治家が勝手に触ること、変えることはできない。

●日本国憲法

*成り立ち
憲法は悲惨な戦争の反省と平和への強い決意から誕生したもので、米軍(GHQ)占領下であったが、戦争放棄、不戦の誓いは当時の首相、幣原(しではら)喜重郎がマッカーサーに申し出たものとされている。
(国立国会図書館憲政資料室「平野文書」参照)

*基本原則( 3本の柱)

  • 国民主権;国家の主権は国民にあり、国民の意志のもと、政府が政治を代行する。
  • 基本的人権の尊重;国民の「自由権」「社会権」「参政権」「受益権」が最優先される。
  • 恒久平和主義;軍隊は持たないし、戦争はしない。

●憲法改正の動き

安倍首相は「憲法は国の理想であり、理想は時代に合わせて改めるべきである」と言っているが、これは憲法をまったく理解していない暴論である。
憲法は、憲法が定義している通り「国の基本」であり、現状が憲法と異なるならば、憲法を変えるのではなく、現状を改めなければならない。
そもそも政府が強行立法した「違憲」の疑いが強い「集団的自衛権」などに合わせて憲法を変えるなど言語道断だ。
また、「米国は 6回、中国、韓国はそれぞれ 9回、フランスは 27回、ドイツは 60回改憲した」という議論も明らかに間違っている。憲法は国によって定義が異なり、憲法に法律や細則も含めている国もある。民主国家で改憲した国は、日本の「法律、細則」に当たる部分の変更であり、日本国憲法に当たる「国の基本」を変更した国はない。
参照⇒https://kenpoudoutei.com/gaikoku_kaiken/

●憲法改正の問題点

1.まず首相や国会議員が改憲を言い出すこと自体、憲法違反である。
   憲法は国家権力を縛り、政治家が守るべきもの。
2.改憲は、国民が改憲を望む場合、国会で改憲案をまとめ、
 国会議員の 3分の 2以上の賛成により発議することができる(憲法 96条)。
 安倍首相は、その 3分の 2を過半数にすることで改憲しやすくしようとしている。
3.集団的自衛権・安保法をめぐる問題
 安倍首相は「 9条の 1項、2項をそのままにして、3項に自衛隊を明記するだけ」と説明しているが、
 法律は「追加項目は、それまでの項目より優先する」という原則があり、
   新たな「集団的自衛権」が「戦争放棄」「専守防衛」より優先することになる。
   安倍首相の説明は一貫して国民への虚偽と欺瞞だ。

●憲法違反を審査する機関

*内閣法制局

  • 内閣法制局は、内閣が国会に提出する法案を政治的に中立な立場で厳正な法的判断をするので「法の番人」と呼ばれてきた。しかし安倍政権になり、首相が「お友だち」を内閣法制局長官に任ずることで首相に「私物化」された。その結果、集団的自衛権、安保法など憲法違反の疑いの濃い法律を容認し、「法の番人」の役割を放棄した。

*裁判所

  • 日本の裁判は現状、憲法違反かどうかについて法律、考え方、思想を裁くことはできない。具体的な事案について、どれだけの被害を受けたかについてしか裁けない。
  • 日米関係、安保条約、米軍基地などについては、「高度に政治的な案件は裁判所が判断することはふさわしくない」ということで、裁判を回避してきた。(砂川事件など)
  • 最高裁の裁判官は政府の任命であり、「三権分立」ではなく「三位一体」である。


*外国は憲法裁判所がある

  • 民主国家の多く(フランス、ドイツ、コスタリカ、韓国など)では、日本とは違い、法律や国家行為が憲法に合致しているか否かを判断する憲法裁判所がある。
2003年 米国のイラク攻撃の際、コスタリカの大統領がイラク攻撃を支持した。これに対し一人の大学生がコスタリカの憲法裁判所に「イラク攻撃の支持は平和憲法や国際法に違反している」と提訴し、勝訴した。コスタリカの大統領はこれに従い、イラク攻撃の支持を撤回した。米国もコスタリカの名を有志連合から削除、ブッシュ政権に打撃となった。

●憲法改悪の動きを止めるには

*憲法について学び、事実を知り、自分の言葉で話せるようになる。
*意見を述べる、多くの仲間とつながる、選挙や投票に行く。